SEOとリスティング広告は、どちらもWebマーケティング施策のひとつです。ただ、SEOとリスティング広告では、仕組みやターゲットが異なります。そのため、双方の特徴を理解し、目的に合わせて使い分けることが大切です。そこで、本記事ではSEOとリスティング広告それぞれの仕組みや特徴、使い分けるコツなどを紹介します。
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SEOとは
SEOとは、「Search Engine Optimization」の略で、検索エンジン最適化という意味を持ちます。検索結果の上位に自社サイトを表示させるための施策のことです。広告ではないため、上位表示されることで費用が発生することはありません。
SEOの仕組み|検索エンジンの評価によって検索順位が決まる
検索キーワードに対して検索エンジンが各ページを評価し、検索結果には評価の高いページから順に表示されます。
例えば、ユーザーが「SEOとは」と検索したとき、検索エンジンはユーザーの検索意図に合ったページを抽出し、ユーザーにとってより最適なページから表示します。
Googleでは、検索順位を決定するのに200種類以上のアルゴリズムがあるといわれています。すべてのアルゴリズムは公開されていませんが、Googleは「Webサイトはユーザーファーストであるべき」と掲げています。
つまり、ユーザーの検索キーワードに沿って検索意図を読み取り、ユーザーの疑問や悩みを解決できるコンテンツを提供することが、SEOで上位表示を獲得するコツといえるでしょう。
SEOの特徴5選
SEOの特徴は以下の5つです。
- 継続的な集客が期待できる
- コンテンツが資産として残る
- クリック率が高い
- 即効性が低い
- 掲載順位のコントロールが難しい
継続的な集客が期待できる
検索エンジンのアルゴリズムがアップデートされたり、新しい競合サイトが登場しない限り、SEOで一度上位表示を獲得すれば、以降検索順位が大きく変動することはありません。
そのため、一度上位表示されれば安定した流入が期待でき、継続的な集客効果を生み出します。SEOで上位表示されることによって発生する広告費もないため、費用対効果の高い集客施策といえます。
コンテンツが資産として残る
SEOに取り組むにあたって作成したコンテンツは、削除しない限り半永久的に残り続けます。広告のように、広告費を支払っている期間中のみ掲載されるわけではありません。そのため、一度コンテンツを作成すれば、資産として集客効果を発揮するでしょう。
ただ、各コンテンツは最新情報に則った追加・更新が必須です。コンテンツを適切に管理しながら、自社の資産として活用しましょう。
クリック率が高い
SEOで上位表示されているWebサイトは、ユーザーからの信頼を得やすく、広告に比べクリック率が高い点が特徴です。ただし、1ページ目に表示されたとしても、順位によってクリック率は異なります。
seoClarityの調査で分かった順位別のクリック率は以下の通りです。
1位:13.94% 2位:7.52% 3位:4.68% 4位:3.91% 5位:2.98% |
出典:seoClarity「2021 CTR Research Study: The Largest Ever for SEO」
上記で分かるように、検索順位1位と2位では倍程度の差があります。広告に比べクリック率が高いといっても、リスティング広告のクリック率が約3%であるため、SEOでは1ページ目というより1位表示を目指すことが大切です。
即効性が低い
SEOに取り組んでからWebサイトが上位表示されるまでには、半年程度かかるといわれており、1年以上かかることも少なくありません。そのため、SEOは即効性には欠けるといえます。したがって、SEOには中長期的な目線で取り組むことが大切です。
掲載順位のコントロールが難しい
自然検索結果の掲載順位は、検索エンジンの評価によって決定されます。つまり、「○○をすれば絶対に1位表示される」といった、上位表示を獲得する絶対的な方法は存在しません。
一度検索上位を獲得できれば一定期間の上位表示が期待できますが、アルゴリズムのアップデートや競合サイトの登場などで検索順位が落ちることも考えられます。このように、掲載順位のコントロールが難しい点もSEOの特徴です。
関連記事:ブログやHPのアクセス数が上がらない7つの原因【PV数を上げる10の方法】
リスティング広告とは
リスティング広告とは、検索結果の上部または下部に表示される広告のことです。主にテキストが用いられ、検索結果では「広告」と表示されています。
リスティング広告はユーザーの検索キーワードに応じた広告を配信できるため、「すでに興味を持っているユーザー=顕在層」へのアプローチに向いています。
リスティング広告の仕組み|検索キーワードに応じて検索結果に表示される
リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに合った広告を表示します。例えば、「SEO」と検索したユーザーには、SEOで活用できるツールやSEO対策会社の広告が表示されます。
リスティング広告は主に「クリック課金型」で、表示されただけでは広告費が発生せず、ユーザーにクリックされてはじめて広告費が発生します。広告費はキーワードによって異なり、競合が多いほど広告費も高くなることがほとんどです。
ただ、クリック単価は80円~1,000程度で、クリックされない限り広告費が発生しないことから、Web広告のなかでも費用対効果に優れた広告といえます。
関連記事:【検索連動型】リスティング広告の仕組みと費用相場!Web広告の運用方法を解説します
リスティング広告の特徴5選
リスティング広告の特徴は以下の5つです。
- 即効性が高い
- 検索キーワードを指定できる
- 掲載順位をコントロールしやすい
- クリック率が低い
- 広告の配信には費用が発生する
即効性が高い
リスティング広告は、審査が通ればすぐに広告が表示されるようになります。即日の配信開始が可能で、即効性の高い施策です。そのため、Webサイトを開設したばかりの時期や、今すぐに成果が欲しいといった際に向いています。
検索キーワードを指定できる
リスティング広告では、広告を表示する検索キーワードを指定できます。
例えば、自社が経理業務を効率化するツールを提供している場合、ユーザーが「経理業務 効率化」「経理ツール おすすめ」「経理ソフト 導入」などのキーワードで検索したときのみ広告が表示されるよう設定可能です。
また、指定するキーワードには3つのマッチタイプが設けられており、自社に最適なマッチタイプを選定しましょう。
マッチタイプ | 特徴 | 広告が表示される検索キーワード(例:指定KW「SEOツール 安い」 |
完全一致 | 指定したキーワードとまったく同じ、もしくは同じ意味を持つキーワードが検索されたときに表示される。 | ・SEOツール 安い・SEOツール 安価 |
フレーズ一致 | 指定したキーワードと同じ文字列が含まれているとき表示される。 | ・安いSEOツール・SEOツール シンプル 安いなど |
部分一致 | 指定したキーワードの一部でも同じ文字列が含まれていれば表示される。 | ・SEOツール メリット・SEOツール 機能・SEO 外注 安いなど |
掲載順位をコントロールしやすい
リスティング広告は基本的に検索結果の上位に表示され、リスティング広告のなかでも掲載順位をある程度コントロールできます。なぜなら、リスティング広告には「広告ランク」という基準が設けられているためです。
広告ランクは以下3つの要素をもとに検索エンジンが決定します。
- 品質ランク
- 上限クリック単価
- 広告表示オプション
キーワードと広告内容の関連性が高かったり、上限クリック単価を他社より高く設定したりすることで広告ランクを上げることが可能です。広告ランクが上がれば、広告の中でも上部に表示されるようになります。
クリック率が低い
リスティング広告はSEOで上位表示されたWebサイトに比べクリック率が低く、平均クリック率は3%程度といわれています。リスティング広告は広告であることが明示されており、「広告はクリックしたくない」と広告を避けるユーザーが一定数いるためでしょう。
このように、ユーザーは広告よりSEOで上位表示されたWebサイトを信頼する傾向があります。ただ、リスティング広告はクリック率が低いとしても、広告の表示には広告費が発生しないため、クリック率が低いことが必ずしも損失につながるわけではありません。
広告の配信には費用が発生する
SEOで上位表示を獲得したとしても、掲載には費用が発生しません。しかし、リスティング広告は広告の配信に費用が発生します。また、広告費を支払っている期間中は掲載されますが、広告を停止すればもちろん掲載も終了します。
つまり、継続的に広告を配信する場合は、広告費を支払い続けなければなりません。そのため、長期間にわたって広告を配信するのであれば、それなりのコストが発生することを認識しておきましょう。
SEOとリスティング広告の違いは「仕組み」と「ターゲット層」
SEOとリスティング広告の違いは「仕組み」と「ターゲット層」です。
SEOとリスティング広告の「仕組み」の違い
リスティング広告は広告費を支払って検索結果の一部に表示させます。そのため、広告を停止すれば、検索結果には広告が表示されなくなります。
一方でSEOは、質の高いコンテンツを提供することで検索エンジンからの評価を高め、上位表示を獲得するという仕組みです。そのため、コンテンツを削除しない限り半永久的に残り続けます。このように、SEOとリスティング広告はそもそもの仕組みが違います。
SEOとリスティング広告の「ターゲット層」の違い
SEOは「潜在層〜顕在層」、リスティング広告は「顕在層」が主なターゲットです。
SEOでは上位表示掲載に費用が発生しないため、多くのキーワードで上位表示できる可能性があります。多くのページで上位表示を獲得すれば露出が増え、まだ購入を検討していないような潜在層ユーザーの認知獲得やブランディングに効果的です。
一方でリスティング広告は、すでに購買意欲を持って検索行動に至っているユーザーに対して広告を表示できるため、顧客化する可能性の高い顕在層へのアプローチに向いています。多くのユーザーが検索するキーワードを指定すれば、短期間での集客効果が期待できます。
SEOとリスティング広告は使い分けることが大切
SEOとリスティング広告は目的に応じて使い分けることが大切です。そこで、SEOとリスティング広告を使い分けるコツについて1つずつ解説します。
SEO|中長期的な集客に向いている
SEOは上位表示されるまでに半年~1年という時間がかかるものの、一度検索上位を獲得できれば検索順位が大きく変動することはありません。そのため、上位表示を獲得して以降は、継続的な集客効果が期待できます。
また、SEOはWebサイト構築・コンテンツ作成・管理などにある程度のコストが発生しますが、上位に掲載されることで発生するコストはありません。長期的に実施するのであれば、リスティング広告よりコストを抑えられるでしょう。
このように、SEOは低コストかつ継続的な集客が可能なため、中長期的な集客に向いているといえます。
リスティング広告|短期的な集客に向いている
リスティング広告は審査さえ通れば即日の配信開始が可能で、広告の停止もすぐに実行できます。このように、広告の配信期間をこちらで設定できるため、「今すぐに成果が欲しい」「キャンペーン期間中だけ集客したい」といったケースにおすすめです。
また、社名や商品・サービス名で検索したユーザーの流入を獲得したい場合も、リスティング広告が向いています。社名や商品・サービス名での検索は指名キーワードと呼ばれ、指名キーワードで検索するユーザーはすでに興味を持って検索していると推測できます。
広告であっても公式サイトであればクリックされる可能性が高いため、指名キーワードからの流入を獲得する場合は、リスティング広告が効果的です。したがって、リスティング広告は短期的な集客に向いているといえます。
SEOとリスティング広告は併用も効果的
中長期的な集客にはSEO、短期的な集客にはリスティング広告というように、SEOとリスティング広告は使い分けることが大切です。ただ、SEOとリスティング広告は併用することで、より効果的な集客が可能となります。
例えば、SEOでWebサイトを運営し認知度を高めつつ、キャンペーン期間中はリスティング広告も同時に配信することで、SEOとリスティング広告の2つの流入経路を確保できます。
また、リスティング広告を配信することで流入の多いキーワードを把握できれば、効果の高いキーワードに沿ったコンテンツを作成可能です。
このように、SEOとリスティング広告それぞれの特徴を活かしながら、2つの施策を併用することで、より効率的な集客が期待できます。
SEOとリスティング広告は上手に使い分けよう
SEOは、質の高いコンテンツを提供することで検索エンジンの評価を獲得し、上位表示を狙う施策です。そして、リスティング広告は広告費を支払って検索結果上部または下部に表示する広告を指します。このように、SEOとリスティング広告には明確な違いがあります。そのため、それぞれの特性を活かし、目的に応じて使い分けながら効率的な集客を実現しましょう。