マーケティングミックス(4P)は、マーケティング戦略のなかの「実行戦略」にあたります。自社の商品・サービスを、どのように世に出していくのかを決定する重要なプロセスです。スターバックスもこの戦略を使っていたことで知られています。
本記事ではマーケティングミックス(4P)の概要や4Cとの関係性、マーケティング戦略の流れや活用事例など、詳しく解説していきます。
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マーケティング全体の流れ:「環境」「基本」「実行」戦略を知る
マーケティングミックスは、マーケティング戦略における「実行戦略」として位置づけられます。
マーケティング戦略は、環境分析・基本戦略・実行戦略と、段階的に進めます。つまり、マーケティングミックスは、マーケティング戦略を立案する一連の流れの一プロセスということです。
そこで、まずは全体を理解するために、マーケティングミックスを含むマーケティング戦略の流れをみていきましょう。
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1.環境分析を行う:PEST分析やSWOT分析など
マーケティング戦略を立案する際、まずは環境分析からおこなわれます。
環境分析は自社の強み・弱みや資産などを分析する「内部分析」と、競合他社や社会環境など、自社を取り巻く環境を分析する「外部分析」の2つがあります。環境分析をおこなうことで、自社の現状を把握できるでしょう。
環境分析に役立つマーケティングフレームワークは「PEST分析」や「SWOT分析」などが挙げられます。
そのほかフレームワークについては以下の記事が参考になると思いますので合わせて読んでみてください。
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2.基本戦略を策定する:STP分析など
基本戦略の策定では、自社が参入できる市場やターゲットを明確にしていきます。このプロセスでは「STP分析」の活用がおすすめです。STP分析によって、事業の方向性が決まってくるでしょう。
構成要素 | 内容 |
Segmentation(市場の細分化) | 顧客ニーズを細分化しセグメントに分け、自社商材との関連性の高さを分析する |
Targeting(参入する市場の決定) | 各セグメントから、自社が参入できる市場を絞り込む |
Positioning(市場内の自社の立ち位置) | 参入する市場の競合他社と自社を比較しながら、市場内の自社の優位性を分析する |
3.実行戦略を策定する:4P(マーケティングミックス)分析など
基本戦略が決まれば、実行戦略(マーケティングミックス)を策定していきます。実行戦略の策定は、基本戦略で決定したターゲットに、どうやってアプローチするかを検討するプロセスです。
効率的に商品・サービスを売るために、顧客・消費者が「魅力的だ」と感じる組み合わせ(ミックス)を検討することから、マーケティングミックスと呼ばれています。
マーケティングミックス(4P)の考え方
マーケティングミックス(4P)は、「Product」「Price」「Place」「Promotion」の4つの要素によって構成されており、4つの頭文字をとって「4P」とも呼ばれています。4つの構成要素について、1つずつみていきましょう。
関連記事:マーケティングにおける4Pが持つ意味|4P分析の方法や4Cとの違いまで
Product(製品):何を売るのか
Product(製品)では「何を売るのか」を決定します。製品がなければマーケティングが成り立たないことから、マーケティングミックスにおいて最も重要な構成要素です。
また、製品には販売する商品・サービスだけでなく、製品の品質・デザイン・パッケージ・サポートなど、製品にかかわるすべての要素が含まれます。
営業支援ツールを提供するとしても、「機能性に優れたツール」と「使いやすさにこだわったツール」とでは強みが異なるように、ターゲットに適した製品を検討することが大切です。
Price(価格):いくらで売るのか
Price(価格)では、製品を「いくらで売るのか」を決定します。価格は売上に直結する部分であるため、最適な価格を検討しなければなりません。価格を決める際は、以下のような要素から検討するとよいでしょう。
- 生産にかかるコスト
- 競合他社が設定している価格
- 顧客・消費者が考える価格相場
- 自社のブランド力
Place(流通):どこで売るのか
Place(流通)は「どこで売るのか」を決定します。流通チャネルは、「全国か地域限定か」「店舗販売かインターネット販売か」「高級百貨店かスーパーか」など、多岐にわたります。ターゲットと接点を持つにはどの流通チャネルがよいかを検討しましょう。
ただ、高級なイメージを持たれているのにもかかわらず、販売場所がスーパーだと、ブランド力を低下させかねません。そのため、企業や製品イメージと照らし合わせながら検討することも大切です。
Promotion(販促・プロモーション):どのように知ってもらうのか
Promotion(販促・プロモーション)は、製品を「どのように知ってもらうのか」を決定します。製品の認知度向上や購買活動につなげるためには、どうしたらよいかを検討しましょう。
具体的には、マス広告・Web広告・Webメディア運営・SNSの活用など、さまざまな方法が挙げられます。ターゲットが若い年代であれば、使用頻度が高そうなSNSで販促活動をおこなうなど、ターゲットに適した方法を選ぶことが大切です。
マーケティングミックス(4P)と4Cの違い
マーケティングミックス(4P)と似ている言葉に「4C」があります。4Cも、マーケティングミックスで用いられる手法のひとつです。4Cは以下の要素から構成されています。
構成要素 | 内容 |
Customer Value(顧客価値) | 顧客が製品に対して抱く価値観 |
Cost(顧客が支払う経費) | 顧客が製品を購入する際に支払う経費や購入する際の作業負担 |
Convenience(顧客の利便性) | 製品の買いやすさ |
Communication(顧客と企業のコミュニケーション) | イベントやSNSなど、顧客と企業がコミュニケーションをとれる場所 |
4Pが企業目線からみる製品の価値であるのに対し、4Cは顧客目線からみる製品の価値を指します。2つを同時に活用することで、企業側と顧客側の意見を擦り合わせにもなるため、マーケティングミックスの効果が高まるでしょう。
より詳しく4Pと4Cの違いについて知りたいという方はこちらの記事も合わせて読んでください!
また、4P・4Cとよく混同されがちなマーケティングフレームワーク「3C」についてはこちらの記事をご確認ください!
マーケティングミックスを活用するポイントは「一貫性」
マーケティングミックスを活用する際は、4つの構成要素に一貫性を持たせることが大切です。
例えば、製品を安くかつ多く売ろうと考えているのに対し、流通チャネルが地域限定の店舗販売のみであれば、売上を最大化できないでしょう。この場合は、幅広いターゲットに届くよう、全国の店舗販売やECサイトの活用が有効といえます。
このように、マーケティングミックスを活用する際は、構成要素に矛盾がないかを確認しながら、一貫性を持たせることが重要です。
マーケティングミックスの活用事例3つ
マーケティングミックスを活用してマーケティングをおこなった企業事例を3つ紹介します。
スターバックスコーヒー
スターバックスコーヒーは、世界的に有名なカフェチェーンです。しかし、同社はコーヒーそのものではなく、質の高い接客とインテリアやレイアウトにこだわった店内空間を、「店内体験」という価値として提供しています。
このように、競合他社とは異なる価値を提供することで、ドリンクの価格は割高であっても、市場内での優位性を確立したのです。
Product(製品) | 良質な店内体験 |
Price(価格) | ドリンク1杯350円(税込)~と割高 |
Place(流通) | 都市部の直営店や書店との併設などがメイン |
Promotion(販促・プロモーション) | 広告を出稿せず、SNSや口コミでの拡散を利用 |
ライフネット生命
保険会社では対面での販売が主流だったなか、ライフネット生命ではインターネット販売を打ち出しました。
インターネット販売では店舗を持つ必要がなく、各店舗に配置する人材確保にもコストがかからないため、低価格で商品を提供できるようになったのです。
また、保険商品は保険料の内訳が不透明なイメージを持たれていることが多かったのですが、同社は内訳をすべて公開するようにしたため、顧客からの信頼を獲得しました。
Product(製品) | 透明性のある保険商品 |
Price(価格) | 定期死亡保険500円程度~と割安 |
Place(流通) | インターネット販売 |
Promotion(販促・プロモーション) | テレビCMを活用した大々的な広告の出稿 |
freee
freeeはクラウド会計ソフトを提供していますが、ターゲットを中小企業や個人事業主に絞り、使いやすさを売りにしています。
また、これまでパッケージ販売がほとんどだった会計ソフトをクラウドツールにしたことから、ITリテラシーの高い顧客から注目され、リリースから1年ほどで6万件以上の契約を獲得したのです。
Product(製品) | クラウド型の会計ソフト |
Price(価格) | 月額2,178円(税込)~と、パッケージ販売と比較して格安 |
Place(流通) | 契約から支払いまでがWeb上で完結 |
Promotion(販促・プロモーション) | Web広告を出稿 |
マーケティングミックス(4P)の解説まとめ
マーケティングミックス(4P)は実行戦略を意味し、マーケティング戦略を立案するうえで欠かせないプロセスです。実行戦略を検討する際は、4Pだけでなく4Cと併用することで、マーケティング戦略の質を高められます。マーケティングミックスにおける各構成要素は方向性にブレが生じないよう、一貫性を意識しながら分析していきましょう。