ビジネスシーンでよく耳にする「マーケティング」という言葉。しかし、マーケティングは様々な定義づけがされており、正確な意味を知らないという方も珍しくありません。そこで、本記事ではマーケティングとは何か?について詳しい概要やメリット、重要性や戦略の立て方まで分かりやすく解説します。
コトラーのマーケティング1.0~4.0について解説した記事もあるので、こちらもあわせて見るとマーケティングについてざっくりわかるかと思いますので、あわせて見てみてください!
関連記事:マーケティング戦略の効果や立案手順について|効果的なフレームワークや成功事例も
マーケティングとは【簡単にわかりやすく!】
マーケティングは、営業活動や宣伝戦略、販促活動などと捉えられることが多いのですが、実際は顧客ニーズを満たすために必要な企業活動全般を指します。市場調査・商品開発・宣伝・販促・販売後のサポートなど、すべてがマーケティングに含まれます。
マーケティングの神様であり経営学者であるフィリップ・コトラーによると、「マーケティングの目的は販売を不要にすること」といいます。そして、顧客ニーズに応えた価値を提供することで、売り込むことなく売れることがマーケティングのゴールであると主張しています。
つまり、マーケティングは商品・サービスを効率的に売るための仕組みづくりとも言い換えられるでしょう。また、マーケティング心理学という分野も存在し、マーケティング活動を行う上で効果的な心理学のことを指します。
ちなみに、日本マーケティング協会では、マーケティングを以下のように定義されています。
マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。
日本マーケティング協会 1990年
1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
引用元:公益社団法人日本マーケティング協会
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。
マーケティングの定義作成の経緯についてはこちらの資料をご参照ください。
関連記事:企業のマーケティング成功事例10選!戦略の重要性や成功に導く3つのポイント
「効果的かつ具体的な」マーケティング戦略の立て方
効果的なマーケティング戦略の立て方を4ステップで紹介します。ここでは具体的な例をあげて、マーケティング活動について詳しく解説します。
1.市場調査をおこなう
まずは市場調査をおこないます。消費者の特徴・ニーズ・ボリュームや、競合他社の市場内における立ち位置など、外部環境の情報を集めていきましょう。
市場調査する際は、「3C分析」「PEST分析」「SWOT分析」などのフレームワークの活用がおすすめです。フレームワークを活用することで、情報を漏れなく収集できるでしょう。
市場調査の具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- アンケート
- ホームユーステスト
- インタビュー
- テストマーケティング
- 行動観察(エスノグラフィ)
より詳しい市場調査方法について知りたいという方は「市場調査とは?マーケティングリサーチとの違いや5つの調査方法」をあわせてお読みください。
2.ターゲットを設定する
マーケティングを実施するターゲットを定めます。このプロセスは、ターゲティングとも呼ばれています。ターゲティングでは、自社の商品・サービスをどのような人に購入してもらいたいかをイメージすることが大事です。
そして、ターゲットはできる限り具体的に設定しましょう。ターゲットが明確に設定されていなければ、顧客ニーズや顧客が抱える課題などを把握しにくいため、マーケティングの効果が薄れてしまう可能性があります。
年齢や性別だけでなく職業や趣味などの属性まで、BtoBマーケティングであれば企業規模や業種など、詳しく決めていく必要があるのです。ターゲットの選定にはSTP分析を活用することをおすすめします。
また、マーケティングの戦略についてのより詳しい内容は、「マーケティング戦略の効果や立案手順について。効果的なフレームワークや成功事例も」の記事で解説しているのであわせてごらんください。
3.自社が提供できる価値を分析する
自社商品・サービスによって、ターゲットにどのような価値を提供できるのかを分析します。ここでは、競合他社と異なる価値を提供できるように検討を重ねましょう。競合他社と提供する価値が被ってしまうと、価格競争に陥りかねません。
自社だけが提供できる価値を見出し、ターゲットにとって欠かせないものとなることを目指すことが重要です。自社が提供できる価値と競合他社との差別化という2つの視点から分析を進めましょう。
4.価値の提供方法を決定する(マーケティングミックス)
自社商品・サービスの価値をどのようにターゲットへ届けるかを決めます。商品・サービスの質が高く、ターゲット設定も的確だったとしても、最適なアプローチ方法でなければ成果にはつながりにくいでしょう。この工程では、複数の要素から最適な組み合わせを選んで実行戦略を決めることからマーケティングミックスと呼ばれ、4P分析と4C分析を用いて分析を行います。
また、競合他社との差別化は、商品・サービスの特徴だけでなくアプローチ方法にも必要なことです。競合他社が価格の安さを押し出しているのであれば、自社では機能性の高さをアピールするなど工夫する必要があります。
何をアピールすればよいか分からないという場合は、自社商品・サービスの強みをもとに検討するとよいでしょう。
5.広告宣伝活動(PR・販促)を行う
自社商品の適切な価格設定や競合調査が終わったら、実際に商品の広告宣伝活動を行います。PR活動の方法は多岐にわたりますが、基本的には先に説明した通り「マスメディア」「ダイレクトマーケティング」「インバウンドマーケティング」の3つに区分けされます。具体的には
- TV、ラジオ、雑誌、新聞、タクシー広告
- Web広告(Google、Yahoo!、SNSなど)
- SEO(サイトやブログ)
- SNSでの発信
- PRTimesなどのPR媒体への掲載
などが手法としては挙げられます。自社の商品やターゲットとなるユーザー、販売フェーズによってPRの仕方や販売チャネルを変える必要が出てきます。
6.効果検証を行いPDCAを回す
広告宣伝活動をし、実際にユーザーに商品を販売する活動を行ったあとは、必ず効果検証を行い、改善案や次回以降の施策を考えることが重要です。マーケティング活動において最も重要なのは「仮説と検証」であり、すばやくPDCAを回して市場にアジャストしていけるかが勝負になります。
マーケティング活動は、終わりのない活動だということを肝に銘じておきましょう。
マーケティングの重要性・必要性について
商品やサービスがどれだけ良いものでも、売れなければ意味がありません。商品やサービスを売るには、顧客ニーズを掴んだり、他社との差別化を図ったりするなどのマーケティングが重要になってきます。
また、一度売るだけではなく、売れ行きに継続性を持たせなければなりません。マーケティングにおいて、自社の価値や顧客ニーズを明確化し、売れる仕組みを構築することが必要です。
経済産業省のHP内にある「マーケティング支援」のページ内でも以下のように定義されており、マーケティングの重要性が伺えるかと思います。
「マーケティングは、顧客に商品・サービスを選んでもらい、収益をあげる事業の仕組みづくりの根幹となるものです。」
引用元:経済産業省:マーケティング支援
つまり、マーケティングは「商品やサービスを継続的に売るために必要となる活動」というわけです。「良いものを作っているはずなのに売れない」「継続的に売れない」といった悩みを抱えてしまっている場合、一度マーケティング活動全般を見直する必要があると言えます。
マーケティングは主に3種類!【マス・ダイレクト・インバウンド】
マーケティングには種類があり、大きく3つに分類されます。
マス・マーケティング:不特定多数の消費者を対象とする
マス・マーケティングはターゲットを細かく絞らず、不特定多数の消費者を対象とするマーケティング手法です。
マスメディアを活用したマーケティングで、例として「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」などの広告が挙げられます。インターネットが普及するまでは、これらの媒体が主な情報源となっていたため、消費者にとっては最も身近なマーケティングともいえるでしょう。
マス・マーケティングは業界を問わず活用されているものの、かかるコストが大きいことから、実施するほとんどが大企業であるという特徴もあります。
ダイレクトマーケティング:ターゲットに対し直接的に販促をおこなう
ダイレクトマーケティングは、ターゲットと直接コミュニケーションをとり、販促をおこなうマーケティング手法です。広告や外部を介さず、絞ったターゲットのみに直接連絡をとるなどしてアプローチします。
ダイレクトマーケティングはターゲットごとにアプローチ方法を変えられる点や、ターゲットの反応を把握しやすい点がメリットといえるでしょう。このような特徴から、不特定多数に向けたマス・マーケティングより成果につながりやすい傾向があります。
そして、ターゲットと直接コミュニケーションをとることから、継続的な関係性を築くことも期待できます。
インバウンドマーケティング:消費者からの問い合わせなどをきっかけとする
インバウンドマーケティングは、ホームページ・ブログやSNSで消費者に役立つ情報を発信し、消費者からの問い合わせなどを待つマーケティング手法です。受け身のマーケティングともいえます。
インバウンドマーケティングでは企業側から消費者にアプローチするわけではなく、消費者が自ら行動し見つけてもらわなければなりません。そのため、自社サイトを多くの人に知ってもらうよう、SEOなどの施策が必要となります。
ただ、消費者が自ら行動を起こし情報を見つけにきているため、成果にはつながりやすいといえます。したがって、消費者がどのような情報を求めているのか、顧客ニーズを分析することが大切です。
マーケティング活動で意識すべき3つのポイント
マーケティングを実施するうえで意識したいポイントを3つ紹介します。
顧客ニーズを細かく把握する
ターゲットが何を求めているのか、何に悩んでいるのか、ニーズを細分化していくことが大切です。
近年で顧客ニーズが多様化しており、顧客によってニーズが異なるうえ、1人の顧客でも状況によってはニーズが変化します。顧客ニーズを細分化し把握できれば、競合他社が参入していない分野を発見できたり、新たな商品・サービスの開発にもつながるかもしれません。
顧客ニーズを細分化する際は、洗い出した顧客ニーズに対し「なぜ?」と検討を繰り返すことが重要です。
もし、営業担当者が「契約を取れない」と悩んでいるとすれば、契約が取れない原因を仮定していきましょう。そして、「商談以外の業務が多い」という原因が挙げられる場合、さらに「なぜ商談以外の業務に追われているのか」と原因を深堀していきます。
こうして、原因を探っていった結果、「タスク管理ができていない」と予測し、自社がタスク管理ツールを扱っているのであれば、この営業担当者のニーズと合致します。このように、ニーズを細分化していくことで自社と顧客のニーズが合致する分野を見つけられるのです。
競合調査を徹底的におこなう
競合他社ではどのような商品・サービスをどのようにアプローチしているのか、競合のマーケティング戦略を調査しましょう。どれだけよい戦略を練っても、既に競合他社が同じような戦略で市場に参入していた場合、後出しになってしまいます。
不足なく競合調査をおこなうことで、他社との差別化も図れるうえ、最適なマーケティング戦略立案につながるでしょう。
顧客にとってのメリットを明示する
商品・サービスをターゲットにアプローチする際、商品・サービスの特徴やメリットを伝えると同時に、顧客が得られるメリットも明示することが重要です。顧客が商品・サービスを取り入れることでどのような悩みが解消されるのかを具体的に伝えられれば、顧客はイメージを膨らませやすいでしょう。
そして、企業が伝えたいことと顧客が知りたいことは必ずしも一致するわけではありません。顧客が何を知りたいのかという視点からアプローチ方法を検討しましょう。
代表的なマーケティングフレームワーク
マーケティング戦略を練る際には、マーケティングフレームワークが良く使われます。ここでは代表的なフレームワークを7つ紹介いたします。
- 3C分析
- 4P分析
- PEST分析
- SWOT分析
- STP分析
- AIDMA
- AISAS
3C分析
3C分析はマーケティング戦略を練るときに必ず使うフレームワークです。Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つのCを分析することで、自社の成功要因や課題を見つけるフレームワークです。
自社を取り巻く環境を分析し、自社が取るべき立ち位置を把握できるため、マーケティングの段階問わず敵的に行うことが重要です。
関連記事:3C分析のやり方!マーケティングフレームワークの重要性と手順やコツを解説!
4P分析
Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の4つのPを用いて、どのように顧客に商品を提供するべきか考えるためのフレームワークです。4P分析は3C分析とは異なり、競合を考慮せず自社の製品に目を向けた考え方になります。
4つのPに偏りがなく、整合性が取れた戦略を練ることが重要となります。
4P分析についての詳しい解説は「マーケティングに欠かせない4P分析とは?4Pと4Cの違いも解説」でしているので、あわせて読んでみてください。
PEST分析
PEST分析は自社のビジネスに影響を及ぼす可能性のある、外的要因を把握・分析するためのフレームワークです。外的要因は自社ではコントロールできない要因のため、事前に把握して対応策を考えておくことが重要です。
世間手的にマイナスな要素だとしても、うまくマーケティングに取り入れることで成功するケースもあるでしょう。
PEST分析については「【業界事例あり】PEST分析とは?やり方も解説します!」でより詳しく解説してます!
SWOT分析
SWOT分析は、Strength(強み)とWeakness(弱み)、Opportunity(機会)とThreat(脅威)の4つの要素を組み合わせて考えるマーケティングフレームワークです。自社の強みや弱みを分析したうえで、外的要因をどのように役立てられるのか(またはどのように脅威を回避できるのか)を把握することができます。
SWOT分析の進め方やポイントは「SWOT分析とは?実際の進め方から効果的な分析を行うポイントまで」で解説しています!
STP分析
STP分析は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の3つの頭文字から構成されるマーケティングフレームワークです。STP分析を行えば、マーケットインする際に、自社が取るべき立ち位置を明確にし、どういった市場で誰にPRするのかが考えられます。
新規事業や事業拡大を行う際に、ぜひ活用していただきたいフレームワークです。
関連記事:STP分析とは?マーケティングにおいてフレームワークが重要とされる理由と具体的な分析方法
AIDMA
AIDMA(アイドマ)は、ユーザーの購買プロセスを説明するためのフレームワークです。認知段階から関心→欲求→記憶→購買へと繋がる一般的な消費行動に合わせて、マーケティングの戦略を練っていくことが重要です。
AISAS
AISAS(アイサス)もAIDMAと同様に、ユーザーの行動プロセスを説明するためのフレームワークです。AIDNAとの違いは、関心を持ったら自ら検索を行い購買に至る点。そして、購買後に他人に対して情報共有を行うという点です。
検索の高度化やSNSの復旧によってユーザーの購買プロセスは日々変わります。マーケティング施策においても行動プロセスに合わせた施策を考えるよう心掛けると良いでしょう。
AIDMA/AISASについてより詳しく知りたい方は「AIDMAとAISASは何が違う?現代の購買行動モデルに適したフレームワークとは」からご覧ください。
マーケティングとは何か?まとめ
マーケティングには、商品開発から販売まで、あらゆる企業活動が含まれます。そして、効率的かつ成果を最大化させるには、マーケティング戦略を立てることが欠かせません。正しいマーケティングの方法を理解し、効果的なアプローチを目指していきましょう。
もしマーケティングを外注したいという方がいましたら「Webマーケティングを外注するには?メリットや費用相場、依頼手順まで」の記事で詳しく解説しているのであわせて読んでみてください!
- マーケティングとは何か?一言で
-
顧客ニーズを満たすために必要な企業活動全般
- マーケティングはなぜ必要なのか?
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自社の価値や、顧客ニーズを明確化して売れる仕組みを構築するため。
- マーケティングの種類は?何個あるの?
-
大きく分けると3つだけ。
- マスマーケティング
- ダイレクトマーケティング
- インバウンドマーケティング