企業はマーケティングを成功させるために、さまざまな戦略を立案・実行しています。そのため、すでにマーケティングに成功している企業事例を参考にすれば、より効率的かつ効果的なマーケティング戦略を導き出せるかもしれません。そこで、本記事では、マーケティングの成功事例10選(BtoCおよびBtoB)をはじめ、事例から学んだマーケティングを成功に導くポイントまで解説します。
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【BtoB】マーケティングに成功した企業事例5選
BtoB事業をおこなう企業のマーケティング成功事例を5つ紹介します。
Sansan株式会社|最適なキーワード選定とWeb広告配信
Sansan株式会社は、名刺管理ソフトウェアを提供する企業です。同社では、以下のようなコミュニティマーケティングに注力しました。
- BtoB向けSaaSサービスの情報交換の場(コミュニティ)を提供
- コミュニティの中心となる人・仲間になってくれる人の抽出
- コミュニティ開催の目的を明確化
このように、同社はITサービスの利用者同士が情報交換をおこなえるコミュニティを提供することで、自社サービスの導入を促進しようと考えました。そこで、コミュニティ参加者を集めるべく、顧客ニーズに合わせたキーワード選定とWeb広告の配信をおこなったのです。
例えば、「名刺管理 効率化」というキーワードで検索をかけたユーザーには、「名刺管理ツールの事例交換会」といった広告を配信するなど、ユーザーの興味を惹くような広告を配信し少しずつ顧客との接点を増やしていきました。
このような施策によって、コミュニティマーケティングの成功につながったといえます。
アドビ株式会社|3か月かけたWebサイト分析
アドビ株式会社は、マーケティングツールの提供をおこなう企業です。同社は提供するマーケティングツールの受注を増やすべく、SEOに力を入れました。
同社ではマーケティングを実施するにあたり、SEOに取り組むWebサイトの分析を3か月間徹底的におこなった点が特徴です。3か月間にわたる徹底的な分析により、導入事例の各ページが検索上位を獲得できないという構造上の課題を発見しました。
そこで、導入事例を紹介した特定のページが上位表示されるよう、各導入事例を紹介したページにURLを設置したのです。このように、時間をかけた分析で自社の課題を洗い出し、改善することでSEOの最適化に成功しました。
株式会社SmartHR|認知拡大に注力
株式会社SmartHRは、クラウド人事労務ソフトを提供する企業です。自社サービスの導入を獲得するべく、同社は自社サービスの認知・興味に力を入れました。具体的に実施された施策としては以下の内容が挙げられます。
- 小さなアップデートでも情報発信をおこなう
- 出演・登壇・取材などの機会にはできる限り対応する
- ピッチイベントにも積極的に参加する
- HRテクノロジーやSaaSサービスの普及を図るイベントを開催する
上記のような取り組みにより、社内外とコミュニケーションをとる機会を増やしたことで、自社サービスの認知拡大を実現させました。
株式会社セールスフォース・ジャパン|オウンドメディア経由でリード獲得
株式会社セールスフォース・ジャパンは、CRMツールをはじめとするマーケティングツールを提供する企業です。同社ではリード獲得のため、オウンドメディアの運営をおこないました。
同社が運営するオウンドメディアでは、ビジネスに役立つ情報を発信しています。また、オウンドメディアからダウンロードできる資料の品質も高いことから、ユーザーにとって価値の高いオウンドメディアとなっています。
このように、ユーザーに寄り添ったオウンドメディアを運営することで、資料をダウンロードするにあたって情報登録をおこなったユーザーに「登録して損した」と思わせず、信頼・リードの獲得につながっているといえます。
日立グローバルライフソリューションズ株式会社|現実的なペルソナを再設計
日立グローバルライフソリューションズ株式会社は、家電や業務用空調機器などを提供する企業です。同社では、業務用エアコンの市場シェア拡大を目標として、ペルソナ設計に力を入れました。
同社では、顧客をイメージするために作られるペルソナにより現実性を持たせるべく、1,800社以上を対象に設定したペルソナに対するアンケート・インタビューをおこないました。
そして、アンケート・インタビューの回答をもとにフィードバックをおこない、より現実的なペルソナを再設計したのです。このように、同社は現実的なペルソナの設計によって、より効果的なアプローチが可能となり、市場シェアの拡大にも成功しています。
【BtoC】マーケティングに成功した企業事例5選
BtoC事業をおこなう企業のマーケティング成功事例を5つ紹介します。
スターバックス株式会社|マーケティングミックス(4P)を活用
スターバックス株式会社は、世界で人気の大手カフェチェーンです。同社は、マーケティングミックス(4P)を活用したマーケティングをおこないました。
マーケティングミックス(4P)とは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(販売場所・方法)」「Promotion(販促活動)」の4つから構成されており、それぞれの視点から自社商品・サービスを分析することで、効果的な販売戦略を立案するというフレームワークです。
同社はマーケティングミックス(4P)に則って自社サービスを分析し、他社にはない心地よい空間の提供や質の高い接客などで差別化を図ったことで、顧客獲得に成功したといえます。
レッドブル・ジャパン株式会社|自社ならではのポジションを創出
レッドブル・ジャパン株式会社は、人気商品「レッドブル」を提供する企業です。同社は「滋養強壮剤」というジャンルのなかでも自社ならではのポジショニングをおこないました。
他社の滋養強壮剤が「疲労を回復すること」をコンセプトにするなかで、同社は疲労回復ではなく、これから何かを頑張る人に向けた「ゼロをプラスにすること」をコンセプトとして掲げたのです。
その結果、「勉強を頑張りたい」「スポーツで結果を出したい」「仕事を乗り切りたい」といった消費者を獲得し、自社ならではのポジション確立に成功しました。
株式会社ユニクロ|オンライン上での接点からオフライン(実店舗)へ誘導
株式会社ユニクロは、「LifeWear」をコンセプトとするアパレルブランドで、国外にも進出している企業です。同社では、オンライン上で接点を持った顧客をオフライン(実店舗)に誘導するべく、マーケティングをおこないました。
例えば、同社ではアプリ広告を活用し会員限定でクーポンを配布することで、クーポンを使って買い物をしたいという顧客を実店舗へ誘導することに成功しています。
また、専用バーコードをスキャンすれば商品情報やレビューを閲覧できるシステムを構築するなど、実店舗での買い物を便利にすることで、オンラインから実店舗への誘導をおこなっています。
ライフネット生命保険株式会社|Web特化型の保険で他社との差別化に成功
ライフネット生命保険株式会社は、保険商品を提供する企業です。従来、保険商品は店舗に訪問し契約するといった形式が一般的でした。そこで、同社は気軽に保険を申し込めるWeb特化型の保険を提供し、他社との差別化を図ったのです。
24時間365日申込可能で、かつ加入しやすい保険料の安さなどを強みとして、新規顧客獲得を実現しました。このように、これまでの保険商品のイメージを変え、自社ならではの強みを明確にアプローチしたマーケティングが成功の秘訣といえます。
株式会社リクルート|ターゲットを絞ったサービス展開
株式会社リクルートの成功事例として、「スタディサプリ」のマーケティング手法を紹介します。同社は「スタディサプリ」を展開する際、どういったユーザーをターゲットとするのかを明確にしたうえで、サービス展開をおこないました。
スタディサプリのターゲットは、「経済的または地域的に予備校や塾に通えない高校生」に絞り込まれています。
このターゲットは、高校生に関する調査で「経済的または地域的に予備校や塾に通えない高校生」に該当するユーザー層が、高校生全体の約7割を占めているという結果をもとに選定されています。
このように、事前調査をもとに的確なターゲット選定がおこなわれたことが、サービス展開後に多くのユーザーを獲得できた要因といえるでしょう。
事例から学ぶ!マーケティングを成功に導く3つのポイント
事例をもとに分かったマーケティングを成功に導くポイントは以下の3つです。
- ターゲットを絞り込む
- フレームワークを活用する
- PDCAサイクルを継続的に回す
1.ターゲットを絞り込む
マーケティングをおこなううえで、自社商品・サービスのターゲットを絞り込みましょう。例えば、掃除機ひとつとっても、「吸引力が強い」「本体が軽量」「音が静か」などさまざまな特徴が挙げられます。
そこで、自社商品・サービスの特徴から、どのようなユーザー層がターゲットとなるのかを洗い出しましょう。吸引力の強い掃除機であれば犬や猫などのペットを飼っている人、音が静かな掃除機であれば赤ちゃんを育てる子育て世帯など、商品の特徴から利用者層が見えてくるはずです。
ターゲットを絞り込めれば、最も効果的なアプローチ方法を導き出せます。そのため、マーケティングをおこなう際は必ず自社商品・サービスのターゲットを絞り込むことが大切です。
2.フレームワークを活用する
効率的なマーケティングをおこなうには、フレームワークの活用がおすすめです。マーケティングで活用できるフレームワークには以下が挙げられます。
例えば、5フォース分析は「競合他社」「新規参入者」「代替品」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」という自社を取り巻く5つの脅威について分析します。脅威を分析することで市場内での自社の立ち位置を把握したり、他社との差別化を図ったりするのに役立ちます。
このように、目的や状況に応じたフレームワークを活用しながら、自社の内部・外部環境を分析し、効果的なマーケティングを目指しましょう。
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3.PDCAサイクルを継続的に回す
マーケティングではあらゆる施策を実施するため、PDCAサイクルを継続的に回すことが大切です。打ち出した施策が必ずしも成功するとは限りません。つまり、マーケティングを成功させるには、実行と改善を繰り返し、徐々に目標達成へと近づくことが大切です。
そのため、施策を実施して終わるのではなく実施した施策の効果検証をおこない、よかった点は継続し悪かった点は改善しながら、よりよいマーケティング戦略につなげていきましょう。
成功事例をもとに効果的なマーケティング戦略を立案しよう
効果的なマーケティング戦略を立案するために、最も有効な方法が「成功事例を参考にすること」です。すでにマーケティングで成功した企業事例を参考にすることで、失敗を繰り返すことなく、効果的な戦略立案につながります。ただ、企業によって力を入れた部分やマーケティング手法が異なるため、自社に適した事例を見極め、自社のマーケティング戦略に落とし込んでいきましょう。