市場調査を実施した際に作成が必要となるのが、市場調査レポートです。「市場調査報告書」とも呼ばれます。ただ、いざ作成するとなった場合に、何を書けばよいのか分からない方は少なくありません。
分かりやすく説得力のある市場調査レポートを作成するために、本記事ではレポートを構成する項目・書き方、実際の作成例などを解説していきます。参考になるテンプレートも紹介(クリックでテンプレまで飛べます!)しているので、ぜひ活用ください!
関連記事:市場調査とは?マーケティングリサーチとの違いや5つの調査方法
市場調査レポートとは
市場調査レポートとは、市場調査を実施した際に、調査結果をまとめた報告書のことです。そもそも市場調査とは、マーケティング活動をおこなううえで、市場の現状を把握するために実施する調査を指します。
- どのような顧客がいるのか
- 顧客はどのような悩みを抱えているのか
- どのような商品が売れているのか
上記のように、調査する内容はさまざまで、事業形態や商材によって必要な調査は異なります。
市場調査レポートが必要となるシーン
市場調査レポートは以下のようなシーンで必要となります。
- 新規参入市場の発見
- 新規事業の立ち上げ
- 既存事業の売上拡大
- 既存事業の効果検証
上記のように、市場調査が実施されるあらゆるタイミングで市場調査レポートの作成が必要となります。ただ、シーンによって調査内容が異なれば、市場調査レポートにまとめる内容も変動するため、どのような項目が必要なのかを見極めることが大切です。
関連記事:マーケティングで活用すべきフレームワーク12選!使い分けや実行方法まで解説します!
市場調査レポートの項目と書き方
では、市場調査レポートの項目とそれぞれの書き方を紹介します。実際に作成する市場調査レポートには、どの項目が必要なのかを考えながらみていきましょう。
こちらからテンプレートのダウンロードができますので、ぜひご活用ください!
①目次|レポートのどこに何が書いてあるのか
調査内容にかかわらず市場調査レポートに必須なのが「目次」です。目次があれば、レポートのどこに何が書いてあるのかを一目で判断できます。そのため、読み手はレポートの全体像を捉えやすくなるでしょう。
また、読み手によっては必要な情報のみを閲覧したい場合があります。こういった場合でも、目次から「必要な情報は○ページ」と、一から読み進めていく手間を省けます。
目次はタイトルや各見出しをページ数と合わせて記載しましょう。ただ、レポートの作成段階で見出しを変更する可能性があるため、目次は完成直前の作成がおすすめです。
②調査目的|何のために調査するのか
レポートの内容として最初に記載するのは「調査目的」です。
- 何のために調査するのか
- 何を明らかにしたいのか
- なぜ調査を実施するのか
- 現状はどうなのか
上記のように、調査の目的や方向性が分かるような内容を明確に記載しましょう。
③調査方法|どのように調査するのか
次に、どのように調査するのか「調査方法」を記載します。調査方法は以下のようにさまざま存在するため、BtoBやBtoCといった事業形態によって使い分けることが大切です。
- アンケート調査
- インタビュー調査
- 覆面調査
- 行動観察調査
- デスクトップリサーチ
- ソーシャルリスニング
また、調査方法を記載する際は、なぜこの調査方法にしたのか理由を添えておくと、説得力が増すでしょう。
④調査対象|誰を対象にするのか
次は誰を対象にするのか「調査対象」を明確に記載します。アンケート調査であれば「20~30代の女性」というように、誰にアンケートを依頼するのか具体的にイメージすることが大切です。
また、何人や何件など、調査対象がどのくらい必要なのかも決めておきましょう。10人に対する調査より、100人に対する調査で得られた結果のほうが説得力は増します。
ただ、調査対象が多すぎても調査に時間がかかったり手間が増えたりするため、あらかじめ必要な調査対象を決めておくことが大切です。
⑤調査期間|どのくらいの期間で調査するのか
どのくらいの期間で調査を実施するのか「調査期間」を記載します。分析に必要な調査結果を得るためには、どのくらいの期間が必要なのかを検討しましょう。
ただ、調査期間といっても調査にかける時間ではなく、調査を実施する時期のことです。そのため、「3か月間」ではなく「2022年1月~3月」と具体的な日時を用いて調査期間を記載しましょう。
⑥調査項目|具体的に何を調査するのか
具体的に何を調査するのか「調査項目」を記載します。アンケート調査であれば具体的な質問文、デスクトップリサーチであれば調査した文献やサイトURLが調査項目にあたります。
具体的にどのような調査を実施して得られた結果なのかが分かることで、レポートの説得力が増すでしょう。
⑦調査結果|どのような調査結果になったのか
そして、「調査結果」を記載します。調査に対しどのような回答や数値を得られたのかを、調査項目ごとに記載することが大切です。
また、調査結果は市場調査レポートにおいて最も重要な部分といえます。そのため、調査結果を記載する際は冒頭に結論を述べ、あわせてその証拠となる表やグラフも記載し、結論を強調できるようにしましょう。
⑧考察・分析結果|調査結果からどのような分析をおこなったのか
調査結果に対し、どのような考察・分析をおこなったのか「考察・分析結果」を記載します。この際、客観的視点から分析することが大切です。主観で感じたことだけでなく、調査内容をもとに考察を述べましょう。
また、調査結果から、市場がどのように動いていくのか予想を記載するのもこの部分です。調査結果から読み取れる市場をもとに、市場が今後どうなっていくのかを予想しましょう。
⑨今後の展開|分析結果から今後の戦略をどうするのか
分析結果をもとに、自社ではどのような戦略を立てていくのか「今後の展開」を記載します。「~~という分析結果から、自社では○○という戦略を実施できる」というように、今後のマーケティング活動をどう実施していくのかを具体的に提案することが大切です。
もし自社でやるのが面倒…という企業様がいましたら以下の記事を参考に市場調査会社を選んでみてください。
市場調査レポートの作成例
市場調査レポートは主に「Word」や「PowerPoint」で作成されます。そこで、それぞれの形式で作成された市場調査レポートを例としてご紹介します。
Wordで作成された市場調査レポート
経済産業省が発表している電子商取引に関する市場調査レポートです。特徴としては内容が精密な点や、記載されてる文章のフォーマットが整っているため、読みやすい点などが挙げられます。
参考:経済産業省「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業」 |
PowerPointで作成された市場調査レポート
消費者庁が発表しているNFTに関する市場調査レポートです。PowerPointで作成されるレポートは、1ページごとに見出しを掲げ、要点を箇条書きでまとめる特徴があります。余計な文章を排除することで、読み手は市場調査レポートにある事実だけを捉えやすいでしょう。
参考:消費者庁「NFTの動向整理」 |
市場調査レポート作成のコツ
市場調査レポートを作成する際に気を付けたいコツを3つ紹介します。
5W2Hを意識する
市場調査レポートでは5W2Hを意識しましょう。
- Why:なぜ
- What:何を
- Where:どこで
- How:どのように
- When:いつ
- Who:誰が/誰に
- How much:いくらで
5W2Hを意識することで、要点を押さえつつシンプルな内容にまとまります。市場調査レポートでは多大なる情報量を記載することになります。そのため、余計な文章や情報が増えると、読み手の混乱を招きかねません。作成時の思考を整理するためにも、5W2Hを意識することが大切です。
表やグラフを活用する
市場調査レポートは情報量が多いため、文章だけでは伝わらないことや読み手が理解しにくい部分が出てきます。そのため、積極的に表やグラフを活用しましょう。
表やグラフがあることで視覚的に情報を与えられるため、読み手の理解を深めるだけでなく、読む意欲を維持させるためにも役立ちます。
客観的事実と考察は区別する
市場調査レポートでは、調査で得られた変わりようのない事実と、作成者が分析した考察を記載します。ただ、客観的事実と考察は区別して記載することが大切です。
2つの要素が混在した文章だと、読み手はその情報が事実なのか考察なのかを判断しにくく、読み手によってレポートの捉え方が変わってしまいます。そのため、事実なのか考察なのかが明確に分かるよう、レポート内では区別して記載しましょう。
まとめ
市場調査レポートは市場調査の結果をまとめることはもちろん、読む人にとっての分かりやすさも重視しなければなりません。そのため、文字だけでまとめるのではなく、表やグラフを活用するなどして、読みやすいと思ってもらえる市場調査レポートを作成しましょう。初めて市場調査レポートを作成するのであれば、過去のレポートやインターネット上に公開されているレポートを参考に作成してみてもよいかもしれません。
市場調査はマーケティングを行う上で根幹となる調査です。正確かつ分かりやすいレポートを作成し、それ以降のマーケティング施策に役立てましょう。