自社Webサイトの効果を高めるには、アクセス解析が欠かせません。しかし、アクセス解析には専門知識が必要であったり、ツールを導入しなければならないことから、実行に移せていない企業も少なくないでしょう。本記事では、アクセス解析の概要や目的から、アクセス解析によって把握できること・おすすめツールなどを解説します。
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アクセス解析とは
アクセス解析とは、Webサイトへ訪問してきたユーザーの属性・閲覧状況・訪問前後の行動などを分析することです。アクセス解析をおこなうことで、どのようなユーザーが、Webサイト内でどのような行動をとっているのかを把握できます。Webサイトにおける課題の発見や解決に役立つでしょう。
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アクセス解析を実施する目的
アクセス解析を実施する目的はさまざまです。具体的に4つの目的を詳しくみていきましょう。
Webサイトの現状を把握するため
Webサイトの改善を目指すのであれば、現状を把握することが大切です。どのような課題があるのかを把握しないことには、適切な改善策を立案できません。
Webサイトの現状を把握するには、アクセス解析によってあらゆる数値にくわえ、ユーザーの属性やWebサイト内の行動まで、細かく把握しなければならりません。
施策の効果を検証するため
Webサイトの運営には、達成したいなんらかの目標があり、目標達成に近づくために施策を打ち出します。そのため、施策の効果が発揮されているのかを検証することが重要です。検証の結果次第では、施策の強化や改善など、次の行動へと移していかなければなりません。
施策の効果を正確に検証するには、数値化されたデータをもとに分析する必要があるため、アクセス解析が欠かせません。
目標達成度を可視化するため
Webサイトの運営には、多くの場合、明確な目標が設定されています。確実に目標達成を目指すには、定期的に目標達成度を確認することが大切です。そして、目標達成度を数値として可視化するのにアクセス解析が役立ちます。
アクセス解析ではWebサイトのアクセス状況やユーザーの情報を把握できます。アクセス数やコンバージョン数など、目標を数値で明確にしている際は、アクセス解析によって日々数値を確認できるのです。その際に、目標達成に向けて順調でないと判断できれば、すぐに改善に向けた施策を打てるでしょう。
ユーザーの行動を分析するため
コンバージョンにいたったユーザーの行動を分析することで、Webサイト内のどういった部分がよかったのかを把握できます。Webサイトの導線やコンテンツの質を高めることにつながるでしょう。
アクセス解析では、ユーザーがどの部分をどれだけ閲覧したのか、どういった導線でコンバージョンにいたったのかなど、ユーザーの行動を可視化できます。アクセス解析で分析したユーザーの行動から、より効果的なWebサイトへ強化していきましょう。
アクセス解析でわかること7つ
アクセス解析(Googleアナリティクス等)を実施した際、数値として把握できることを7つ解説します。
ページビュー(PV)数
ページビュー数は、ユーザーのアクセスによってWebページが表示された回数を指します。Webページが開かれるたびにカウントされるため、同一ユーザーが10回アクセスすると、ページビュー数は10となります。ページビュー数は、訪問したユーザー数にかかわらず、純粋にWebページが開かれた回数と認識しておきましょう。
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セッション数
セッション数は、ユーザーがWebサイトに訪問した回数のことです。Webサイトは多数のWebページから構成されており、同一のWebサイト内であれば複数のWebページを閲覧しても、セッション数は1となります。
アクセス解析にGoogleアナリティクスを利用する場合、セッション数が1とカウントされる3つのタイミングがあります。
- 最後のページビューから30分が経過したとき
- 日付が変わったとき
- 流入元が変わったとき
参照:Googleアナリティクス ヘルプ「How a web session is defined in Universal Analytics」
最後の閲覧から操作がおこなわれずに30分が経過した際や、Webサイトへ23時55分に訪問し日をまたぎ0時10分に離脱した際などは、新たなセッションとしてカウントされます。また、広告からWebサイトへ訪問してきたユーザーが、自然検索から同一Webサイトに訪問した場合も、流入元が変わっていることから、1セッションとカウントされます。
ユニークユーザー(UU)数
ユニークユーザー数は、Webサイトに訪問したユーザーの人数のことです。ページビュー数とは異なり、同一ユーザーが一定期間内に10回Webサイトを開いても、ユニークユーザー数は1とカウントされます。
ただ、同一ユーザーと判断する方法は、アクセス解析ツールによって異なります。Googleアナリティクスの場合、各ユーザーに発行したCookieを利用して、同一ユーザーかを判断します。そのため、ユーザーによってCookieを拒否している場合や、異なるデバイスからアクセスされた場合などは、同一ユーザーだったとしても、別々にカウントされることがあるのです。
直帰率
直帰率は、Webページに訪問したユーザーが、そのWebページのみを閲覧し離脱した割合を指します。「直帰率=直帰数÷セッション数」で算出可能です。
コンテンツ内容がユーザーのニーズを満たしていない場合、直帰率が高くなる傾向にあります。そのため、直帰率が高い場合は、コンテンツの内容を見直す必要があるでしょう。
離脱率
離脱率は、Webサイトから離脱したユーザーの割合を指します。「離脱率=離脱数÷ページビュー数」で算出できます。
直帰率は特定の1ページのみを閲覧し離脱する割合であるのに対し、離脱率はWebサイト内の複数のWebページを閲覧したあと、離脱にいたったユーザーの割合のことです。
ただし、Webサイトからの離脱は、ユーザーのニーズを満たした場合でも発生するため、必ずしもマイナスとは限りません。そのため、商品の購入や問い合わせなどのコンバージョンページは、離脱率が高い傾向にあります。
もし、コンバージョンページの直前で離脱が発生している場合、改善によってコンバージョン数の増加が期待できるでしょう。
回遊率
回遊率は、同一セッションにおいて、Webサイト内にあるWebページをどれだけ閲覧して回ったのかという割合を指します。「回遊率=ページビュー数÷セッション数」で算出可能です。
回遊率が高ければ、ユーザーのニーズに適したコンテンツを提供できていると判断してよいでしょう。ただ、回遊率が低い場合は、コンテンツ内容やWebサイト内の導線を見直す必要があります。ユーザーにとって、どのような導線であればWebサイトを回遊しやすいかという視点から改善に取り組みましょう。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョンとは、購入・申込・問い合わせ・資料請求など、Webサイトの目標としているアクションを実際にユーザーが実行することです。コンバージョンと設定されているアクションは、Webサイトによって異なります。
コンバージョン率は、Webサイトに訪問したユーザーがコンバージョンにいたった割合を指しており、「コンバージョン率=コンバージョン数÷セッション数」で算出可能です。
アクセス解析を実施する前に必要なこと
アクセス解析によってWebサイトを改善しようと考えているのであれば、事前にやっておきたいことが3つあります。
Webサイトの運営目的を明確にする
Webサイトを運営する目的を明確に設定しましょう。Webサイト運営の目的は「売上○%アップ」「○件のコンバージョン獲得」など、Webサイトによって異なります。目的が違えば、アクセス解析で注目すべき要素や改善策も変わってくるでしょう。
目的が明確でなければ、方向性のズレた改善策を立ててしまうことや、目標達成度が把握しにくいといった問題が起こる可能性があります。アクセス解析を実施する前に、Webサイトの目的を再度明確に把握しておくことが重要です。
達成したい目標を細分化する
Webサイトの目的を達成するには、どのような目標を達成する必要があるか、目標を細分化していきましょう。
Webサイトの目的が「売上○%アップ」であれば、売上を○%アップさせるために必要な行動が何かを洗い出します。具体的には「ユニークユーザー数を増やす」「直帰率を低下させる」「CVRを向上させる」などが挙げられます。
このように、達成したい目標を細分化していくことで、どのような改善が必要なのか、優先的におこなうべき改善は何かなどがわかってくるでしょう。
自社に最適なツールを選定する
アクセス解析ツールはさまざまな種類があるため、自社に最適なツールを選定することが大切です。アクセス解析の知識がなくても利用できるツールもあれば、ある程度知識が必要なツールもあります。社内のリソースと照らし合わせながら、自社で活用できそうなツールを選びましょう。
【無料】おすすめのアクセス解析ツール3選
おすすめのアクセス解析ツール3つを紹介します。どのツールも無料で利用できるため、一度試してみるとよいでしょう。
Google Analytics|Google公式のアクセス解析ツール
Google AnalyticsはGoogleが提供しているアクセス解析ツールです。無料プランでもユーザーの属性やWebサイト内における行動、コンバージョンなどさまざまなデータを把握でき、機能性に優れています。
そのため、アクセス解析には欠かせないツールとして、多くの企業で導入されています。有料プランを利用すれば、大規模なWebサイトにも対応可能です。
Google Search Console|Webサイト訪問前後の行動分析が得意
Google Search ConsoleもGoogle Analyticsと同様に、Googleから提供されているアクセス解析ツールです。
Google AnalyticsがWebサイト内におけるユーザーの行動を分析できるのに対し、Google Search ConsoleはWebサイトへの訪問前後におけるユーザーの行動を分析できます。
どのような検索キーワードで流入してきたのか、Webサイトの掲載順位は何位だったのかなどがわかるため、SEOに力を入れているWebサイトであれば、必須ともいえるツールです。
Google Search ConsoleとGoogle Analyticsでは、分析できる部分が異なるため、連携して活用することをおすすめします。
User Heat|ヒートマップ解析ツール
User Heatはヒートマップ解析ツールのひとつで、株式会社ユーザーローカルによって提供されています。
User Heatでは、Webページを閲覧中のユーザーの行動を色に置き換えます。閲覧時間が長い箇所や、よくクリックされた箇所が赤く表示され、視覚的に把握しやすいでしょう。パソコンだけでなく、スマホを利用しているユーザーの行動も分析できる特徴があります。
効果的なアクセス解析を実施するポイント
アクセス解析をより効果的なものにするためのポイントを3つ紹介します。
過去のデータと比較する
アクセス解析はデータから現状を把握することも大事ですが、過去と比較したとき、どのような変化があったのかを分析することも重要です。
アクセス解析では日々のデータを見ることができるため、目の前の数字にとらわれる傾向があります。ただ、数値に関しては日々の変動が激しいため、一週間・半月・一か月など、長期的な期間でデータを比較しなければなりません。
また、目の前の数値だけをみてしまうと、目標達成が遠く感じたり、効果が出ていないように感じたりすることもあります。そこで、過去と比較することにより「このときよりは効果が出ているな」と、ちょっとした効果も見逃さず、次の施策立案に役立つでしょう。
ユーザーのニーズを分析する
アクセス解析では、アクセス数やユーザー数など、さまざまな情報を数値として可視化できます。しかし、その原因までは分析できません。
例えば、アクセス解析によりクリックされていない箇所がわかっても、なぜクリックされにくいのかという部分はわかりません。
結果の原因を分析するには、ユーザーの視点に立ってニーズを深堀していく必要があります。ユーザーのニーズを調査するには、アンケート調査やレビューなどの活用がおすすめです。
定期的に環境分析をおこなう
Webサイトのレイアウトやコンテンツの質を高めるだけでなく、定期的に環境分析をおこなうことが大切です。Webサイト運営は、顧客ニーズの多様化にくわえ、競合の登場や社会環境の変化にも影響されます。
例えば、同一市場の競合が広告を開始したことで、ユーザーが競合のWebサイトに集まってしまい、自社サイトへの訪問者数が激減するということも考えられます。そのため、自社を取り巻く環境の変化にも敏感になっておくことが重要なのです。
まとめ
アクセス解析は、Webサイトの効果を最大化させるためには欠かせない分析です。ただ、ツールの導入や担当者の育成などに時間を要する場合もあります。そのため、アクセス解析を実施する場合は、導入や運用の計画を事前に練っておくことが重要です。自社に適したツールを導入し、目的に沿ったアクセス解析をおこないましょう。