他社との差別化や効率的なマーケティングに欠かせないのが、ブランディングです。そして、ブランディングを成功させるためには具体的な戦略が必要となります。本記事では、入念なブランディング戦略の実行によって成功した企業事例を紹介いたします!あわせて、ブランド戦略の具体的な立て方についても紹介いたします!
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ブランディング戦略の成功事例
ブランディング戦略を実行し、ブランディングに成功した企業事例を5つ紹介します。
星野リゾート:施設ごとにコンセプトを設定
星野リゾートでは、いくつものリゾートホテルを経営しており、どの施設も質のよい接客で高い顧客満足度を獲得しています。ただ、星野リゾートでは各施設に異なるコンセプトを持たせ、さまざまな客層の獲得を目指しているのです。
星野リゾートのサブブランドである「星のや」では圧倒的な非日常感を味わえる、「界」では地域の魅力を感じられる、「リゾナーレ」では子ども連れの家族をターゲットとしたファミリーリゾートなど、それぞれが異なる客層をターゲットとしています。
このように、各施設の細かいコンセプトは異なるものの、共通して質の高い接客を提供していることから、「さまざまな施設に行ってみたい」と消費者の心を掴み、企業全体で成長し続けているのです。
Apple:専用店舗を設置
Appleといえば、りんごのロゴやスタイリッシュなデザインを思い浮かべる方も多いでしょう。一貫性のあるデザインもブランディング戦略のひとつですが、専用店舗である「アップルストア」の設置も効果的なブランディング戦略の手段でした。
アップルストアが設置されたことにより、製品を購入する際だけでなく、修理や新製品のデモなど、さまざまなタイミングでAppleユーザーが集まる場所ができたのです。
Apple製品に身近に触れる場所ができたことから、「次もApple製品を買おう」と考えるユーザーが増えたうえに、人の集まるアップルストアは通りかかる人々の目に留まる機会も増えました。
このように、Appleは一貫したデザインやアップルストアの設置により、ブランディングを成功させています。
スターバックス:広告に頼らず店内体験を重視
スターバックスは世界的に有名なカフェチェーンですが、テレビCMといった広告は一切出していません。自宅や職場でもない第三の場所という意味を持つ「サードプレイス」をコンセプトのもと、店内での空間提供を重視しています。
広告で集客を狙うのではなく、実際に店舗へ訪れた顧客に上質な接客や洗練された空間を提供することで、リピーターを獲得しているのです。また、スターバックスでは電源やWi-Fi、過ごしやすい椅子やテーブルなど、長時間でも滞在しやすい環境が作られています。
このように、他のカフェチェーンにはない空間を顧客に提供することで、サードプレイスとしてのイメージが浸透し、ブランディングに成功したのでしょう。
ユニクロ:イメージ脱却に向けコンセプトを一新
ユニクロは、かつて「安くて質が悪い」というイメージを持たれていた時期がありました。このイメージを脱却するために打ち出した戦略が、コンセプトの一新です。
ユニクロは「LifeWear」という「あらゆる人の生活を、より豊かにするための服」をコンセプトに設定しました。このコンセプトのもと、シンプルなデザインかつ生活ニーズや機能性を考えた服を提供するようになりました。
アパレル業界ではデザイン性が求められることが多かったなか、デザインはシンプルに機能性にこだわる同社のコンセプトは、消費者に新たな価値を提供することとなったのです。
このように、コンセプトを一新したことでイメージからの脱却だけでなく、世界中に定着するブランドへと成長していきました。
無印良品:ブレない「らしさ」を表現
無印良品で提供されている商品は、すべてシンプルなデザインが採用されており、デザインに一貫性があります。
また、同社では「これがいい」ではなく「これでいい」をコンセプトに商品を提供しています。競合との差別化で選んでもらうという他の事例と異なり、モノが溢れる現代で消費者に「これでいいか」と選んでもらうブランディング戦略です。
生活雑貨をはじめ食品や家具など、さまざまな商品を取り扱う無印良品ですが、どの商品も無印良品らしさがブレることなく存在し、独自性を持っています。このように、「これでいい」を目指す同社の「らしさ」が、ブランディング戦略を成功に導いたのです。
そもそもブランディング戦略は【エボークトセット】
上記の画像のように、缶ビールと言えばキリン、プレモル、黒ラベル、一番搾り…というように「○○といえばA社だ」と、自社に対する共通認識を持ってもらうために行う戦略が、ブランディング戦略です。このようにブランドを想起してもらうことをエボークトセット(想起集合)と言い、この集合体の中に入ることが、商品やサービスの販売に大きな影響を及ぼすことが知られ、ブランディングの目指す地点となります。
例えば、「商品の品質がよい」というイメージを持ってもらうには、長年使用しても劣化しにくいものを作ったり、質の高さを連想させる上品なデザインにしたりすることが挙げられます。このように、顧客に商品やサービスがどんなイメージを持たれたいのかを検討し、それに向けた戦略を練ることがブランディング戦略に繋がります。
先に挙げた成功事例のブランドもそれぞれ、○○といえばA社!という点で地位を確立していることが分かるかと思います。
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ブランディング戦略の必要性が高まっている背景
現代ではモノやサービスが市場に溢れているため、ブランディング戦略の必要性が高まっています。競合他社と差別化を図り、自社商材を選んでもらうのに効果的な手段がブランディングです。
また、現代は景気もよいとはいえず、消費者の購買力も低下している傾向がみられます。そのため、積極的にブランディングをおこない、自社商材を選んでもらうための戦略が必要です。
自社商材を消費者にアピールする方法として、テレビCMや新聞・雑誌での広告掲載は影響力が大きいといえます。しかし、これらの方法は莫大なコストがかかるうえ、効果が高まるのは広告が掲載されている期間のみに限られることがほとんどです。
ブランディングの成功事例から学ぶブランド戦略まとめ
ブランディングを効率的におこなうには、ブランディング戦略の立案が欠かせません。また、モノ・サービスが溢れている現代で自社を選んでもらうには、ブランディングで自社ならではの要素をアピールする必要があります。自社の強みを洗い出し、市場内で優位に立つためにも、ブランディング戦略を活用していきましょう。