コトラーが提唱するマーケティング理論・概念とは?1.0~4.0の変遷

コトラーのマーケティング
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マーケティング界の第一人者と呼ばれるフィリップ・コトラーは、マーケティングに関するさまざまな理論や概念を提唱してきました。ただ、マーケティング理論は現在もアップデートされ続けています。そこで、本記事ではコトラーが提唱したマーケティング理論と概念、代表的な論文などを紹介していきます。

関連記事:マーケティングとは?を簡単に解説!種類や重要性、戦略の立て方まで

目次

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マーケティング界の第一人者!フィリップ・コトラーとは

フィリップ・コトラーはマーケティング界の第一人者であり、「マーケティングの巨匠」「マーケティングの神様」「近代マーケティングの父」などと呼ばれています。

数多くのマーケティング理論を提唱し、これまで発表した論文は100を超えるといわれ、マーケティングに関する著書も出版しています。

コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

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コトラーは1931年にシカゴで生まれ、現在もマーケティング界の第一線で活躍しています。

コトラーが提唱したマーケティング理論と概念

コトラーが提唱したマーケティング理論と概念

これまでにコトラーが提唱した代表的なマーケティング理論と概念を3つ紹介します。

  • マーケティング1.0~4.0
  • マーケティングミックス(7P)
  • STP分析

マーケティング1.0~4.0

マーケティング1.0~4.0

マーケティング1.0~4.0は、コトラーが提唱してきたなかでも、最も有名なマーケティング理論です。

コトラーいわく、マーケティングは1.0から4.0までの4段階で進化してきたといいます。それぞれの考え方や定義についてみていきましょう。

マーケティング1.0|製品中心

マーケティング1.0は、「製品を大量に生産しどのようにしてたくさん売るか」をテーマとした、製品中心の考え方です。顧客ニーズや製品の価値などは重視されていないのが特徴です。

産業革命をきっかけに、大量生産・大量消費が可能になったため、マーケティング1.0の考え方が浸透していきました。

マーケティング1.0は、1900年代はじめから1960年代まで続き、1960年にはマーケティングの基礎といわれる「4P」というフレームワークが登場します。

4Pは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」の4つから構成されており、製品が中心になっていることが分かります。

関連記事:マーケティングに欠かせない4P分析とは?4Pと4Cの違いも解説

マーケティング2.0|消費者志向

マーケティング2.0は、「消費者が何を求めているのか」をテーマとした、消費者志向の考え方です。

1970年代に起こったオイルショックの影響で物価が高騰したため、消費者はモノやサービスを買い控えるようになりました。

また、類似製品も多く登場したため、各企業は価格競争に陥り、消費者も購入する製品を選ぶようになりました。

そのため、大量生産・大量消費という考え方から、「どうすれば消費者に選んでもらえるか」「どのような製品が消費者を満足させるか」という考え方へと変化していったのです。

そして、マーケティング2.0を象徴するフレームワークとして「STP分析」が挙げられます。

「Segmentation(市場の細分化)」「Targeting(市場の決定)」「Positioning(市場内におけるポジションの明確化)」の3つから構成されており、製品というより消費者目線のフレームワークになっていることが分かります。

関連記事:STP分析とは?マーケティングにおいてフレームワークが重要とされる理由と具体的な分析方法

マーケティング3.0|価値主導

マーケティング3.0は、「どれだけ社会に貢献しているか」「その製品が世界をよりよくするものか」をテーマとした、価値主導の考え方です。

マーケティング3.0が生まれた背景には、インターネットやソーシャル・メディアの普及があります。インターネットやソーシャル・メディアが普及したことで、消費者はあらゆる情報を簡単に手に入れられるようになりました。

マーケティング3.0で重要視されるソーシャル・メディアは、以下の2つに分類されます。

マーケティング3.0について

このように、マーケティング3.0では、2種類のソーシャル・メディアから読みとった消費者のニーズや価値観を、製品に反映させることが求められました。

消費者がソーシャル・メディアから得られる情報としては、以下の内容が例に挙げられます。

  • 製品のレビュー・感想
  • 製品の生産過程
  • 企業努力や過去のストーリー

また、上記のような製品に関する情報以外にも、世界で起こっている戦争・貧困問題・環境問題など、世界における社会問題も共有されはじめました。

そのため、消費者は「自らの欲求を満たす」だけでなく、「社会問題を解決できる」製品を選ぶようになったのです。

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マーケティング4.0|自己実現

マーケティング4.0は、アブラハム・マズローの「欲求5段階説」をもとにした、自己実現の考え方です。

マズローが提唱した「欲求5段階説」によると、人間の欲求は以下の5段階に分かれており、1つの欲求を満たすと次の欲求を満たそうとすると考えられています。

  1. 生理的欲求
  2. 安全欲求
  3. 社会的欲求
  4. 承認欲求
  5. 自己実現欲求

しかし、コトラーは生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・承認欲求の4つはすでに満たされており、「自己実現欲求」こそが本来満たすべき欲求だと唱えています。

そのため、マーケティングにおいても、消費者の自己実現欲求を満たせるかどうかが重要視されるようになりました。

自己実現欲求とは、簡単にいうと「なりたい自分をモノ・サービスによって実現する」ことです。例えば、オシャレに魅力を感じる消費者は、好きなブランドの洋服を身につけることで、自己実現欲求を満たします。

このように、消費者は自己実現のために、自分の価値観と合う製品を選ぶようになりました。このような傾向を参考にした考え方がマーケティング4.0です。

マーケティングミックス(7P)

マーケティングミックス(7P)は、マーケティング1.0で登場した4Pに、コトラーが3Pを追加した概念です。マーケティングミックス(7P)を構成する要素は、以下の通りです。

コトラーの7Pフレームワーク

以前までは、有形であるモノを売るためのマーケティングが中心でした。しかし、時代が進むにつれ飲食・旅行・金融・情報など、無形であるサービスがひとつの商品として価値を高めていったのです。

そして、マーケティングミックス(7P)は、サービスマーケティングに最適なマーケティング理論といわれています。

例えば、同じコーヒーを同じ場所・同じ価格で提供したとしても、コーヒーを提供する店員の接客によって消費者が感じる価値は異なるでしょう。つまり、サービスマーケティングは4Pのみでは適切な分析を行えません。スターバックスなどはこういった視点をうまく活用したマーケティング手法をとっていることで知られています。

このような背景から、コトラーはサービスマーケティングを正確に分析するため、3Pを追加した7Pを提唱しました。

STP分析

コトラーのSTPフレームワーク

マーケティング2.0を象徴するフレームワークである「STP分析」も、コトラーが提唱した概念です。STP分析は以下の要素で構成されています。

  • Segmentation(市場の細分化)
  • Targeting(市場の決定)
  • Positioning(市場内におけるポジションの明確化)

Segmentationでは、顧客ニーズや顧客の特徴などから、市場内の顧客をグループ分けしていきます。次のTargetingでは、グループ分けしたうち、どのグループをターゲットとするかを決定します。

そして、Positioningはターゲットとなるグループに対し、「自社がどのような立ち位置でアプローチするか」「どのように他社と差別化するか」などを明確にするプロセスです。

STP分析を行うことで、顧客ニーズや市場の分布を整理でき、競合を避けながらのアプローチが可能となります。

コトラーが発表した代表的な論文

コトラーの代表的な論文

これまでコトラーが発表した代表的な論文を4つ紹介します。

  • 『マーケティングの概念を広げる』
  • 『メガ・マーケティング』
  • 『マーケティング・マインドの追求』
  • 『撤退のマーケティング戦略』

1969年|マーケティングの概念を広げる

1969年に発表された『マーケティングの概念を広げる』は、コトラーとシドニー・J・レヴィの共著による論文です。「マーケティング」が、企業だけでなく非営利組織やマネジメントにおいても活用できることを示しています。

この論文によって「マーケティング」という概念が広く普及していきました。

1986年|メガ・マーケティング

1986年に発表された『メガ・マーケティング』は、効果的なマーケティング活動を行ううえで、6つの要素を考慮すべきであると示した論文です。

具体的な要素としては、4Pを含む以下の6つが挙げられます。

  • Product(製品)
  • Price(価格)
  • Place(流通)
  • Promotion(販促)
  • Power(政治的権力)
  • Public Relations(広報活動)

上記のように、マーケティングでは製品そのものだけでなく、製品を取り巻く関係組織との協力が重要であることを説いています。以下の書籍の中でメガマーケティングについて語られています。

市場戦略論

市場戦略論

フィリップ・コトラー
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2004年|マーケティング・マインドの追求

2004年に発表された『マーケティング・マインドの追求』は、マーケティングの定義を再確認する必要があると説いた論文です。

効果的なマーケティング活動やマーケティングの考え方は日々進化し続け、製品中心だった考え方から価値や自己実現に重きをおく考え方へと変化しました。

しかし、マーケティングの捉え方が、製品中心だったときの延長でしか捉えられていないことを指摘しています。

このように、『マーケティング・マインドの追求』は、マーケティングの考え方が変化するなかで、改めてマーケティング・マインドの定義を確認することが重要だと説いた論文です。

2015年|撤退のマーケティング戦略

2015年に発表された『撤退のマーケティング戦略』は、新しいモノ・サービスを世に送り出すばかりでは、成長や事業拡大のチャンスを得られないと説いた論文です。

新しいモノ・サービスを生み出すばかりでは、広く浅いマーケティング活動しか行えないといいます。そのため、既存製品の対策を行い、ときには撤退を視野にいれることも効果的なマーケティング活動には欠かせないといった内容です。

この論文のなかには、撤退する製品を見極める評価基準や業務プロセスなども掲載されています。

フィリップ・コトラーのマーケティングについてのまとめ

フィリップ・コトラーは、マーケティング界の第一人者であり、さまざまなマーケティング理論や概念を提唱してきました。マーケティングにおける考え方は変化し続けており、コトラーは現在でもマーケティング界の第一線で活躍しています。コトラーが提唱してきたマーケティング理論を学び、効果的なマーケティング活動へとつなげていきましょう。

関連記事:鉄板のマーケティングフレームワーク12選!使い分けや実行方法まで解説

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この記事を監修した人

株式会社SOHAのアバター 株式会社SOHA CEO 代表取締役

Webマーケティングを行う企業です。コンテンツマーケや広告運用はもちろん、ブランディングや戦略の立案まで支援いたします。SE、ITコンサルの経験を活かした経営者視点でこれまで業種業界問わず多くの企業のマーケティング支援を行ってきました。本メディアではこれまでの経験をもとに、マーケティングに関わる情報について発信いたします。

マーケティング歴は7年ほど。日本マーケティング学会会員。

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