Web広告にはさまざまな種類があります。しかし、事業に適した方法でなければ、思うような効果は得られないでしょう。そのため、自社の事業や現在抱える課題など、さまざまな要素からWeb広告を使い分けることが大切です。
本記事ではWeb広告の種類とそれぞれの特徴、選び方や運用のコツまで詳しく解説していきます。どの広告媒体を選べば良いかわからないという人の参考になるかと思います!
関連記事:Web広告とは?種類や運用方法、各媒体の費用相場まで
Web広告、実は15種類以上ある…!
Web広告は、Web上に掲載される広告全般のことです。Webメディア内だけでなく、検索エンジンのトップページやSNS、メールなどに掲載される広告まで含まれます。
また、Web広告にはおよそ15もの種類があります。Web広告の目的には、契約・購買を促す以外にも「認知度向上」や「リピーター獲得」などさまざまであることから、それぞれの目的に応じてWeb広告を使い分けることが大切です。
【今や常識!】Web広告に取り組む企業は増加
広告といえば、テレビや新聞・雑誌などに掲載する「マス広告」が主流でした。しかし、マス広告は莫大なコストがかかるうえに、効果を測定しにくいというデメリットがあります。
その反面、Web広告は比較的低コストで出稿でき、効果測定しやすい点のほかにも「ターゲットを細かく絞れる」「行動を促進しやすい」など、マス広告のデメリットを克服しています。
また、2022年3月に電通が発表した調査レポートによると、2021年のインターネット広告費が2兆7,052億円と、マスコミ四媒体広告費の2兆4,538億円を上回りました。Web広告費がマス広告費を上回ったのは2021年が初めてで、今後も成長し続けると予想されています。
このように、Web広告に取り組む企業が増加傾向にあり、必要性も高まっているといえます。
参照:電通「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
【どれを活用する?】15種類のWeb広告の特徴を解説
Web広告は大きく分けて11種類あり、そのなかからさらに細分化されるため、全部で15種類になります。それぞれのWeb広告について、1つずつみていきましょう。
リスティング広告
リスティング広告は、検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに応じて、検索結果画面に表示される広告です。ユーザーの検索に連動することから、「検索連動型広告」とも呼ばれます。
ユーザーが検索という行動を起こすときは、その時点で悩みや疑問を持っていることがほとんどです。例えば、ユーザーが「マーケティングツール」と検索した場合、マーケティングで活用できるツールを探していると予測できます。
このように、リスティング広告は顕在層へアプローチでき、購買につなげやすいという特徴があります。
また、リスティング広告で使う広告費は、広告主によって設定可能です。そのため、「予算の範囲内で出稿したい」「コストをあまりかけられない」といった場合に向いているでしょう。
関連記事:Web広告といえばリスティング広告!概要・仕組み・費用相場などの基礎から運用方法まで
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、検索エンジンのトップページや各Webサイト内に設けられた広告枠に表示される広告です。テキスト以外にも画像や動画を用いることができ、「バナー広告」とも呼ばれています。
ディスプレイ広告は画像や動画を活用することから、テキストのみの広告に比べて、ユーザーの目を惹きやすいでしょう。ディスプレイ広告はさまざまな場所で掲載されるため、潜在層のユーザーにもアプローチできます。
また、ユーザーの属性を絞った細かいターゲティングも可能なため、潜在層から顕在層まで幅広いターゲット向けに活用できるでしょう。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、過去に自社サイトへ訪問したユーザーに対して、広告を表示するものです。Googleでは「リマーケティング広告」と呼ばれています。
リターゲティング広告は、自社サイトを離脱したあともユーザーを追跡し、広告を表示できるため、契約・購入を検討しているユーザーの後押しをする効果が期待できます。
リターゲティング広告も、テキストのほかに画像や動画などを使えるため、視覚的なアピールも可能です。
過去に自社サイトへ訪れているということは、既に自社商品・サービスに興味を持っている顕在層といえます。そのため、コンバージョンの獲得につなげやすい手法でしょう。
純広告
純広告は、各Webサイトに設けられた広告枠に一定期間掲載する広告です。特定のWebサイトの広告枠を一定期間買い取る形になるため、契約期間中は必ず広告が表示されます。
例えば、化粧品の広告であれば、ターゲットが閲覧するであろう「化粧品の比較サイト」にある広告枠を買い取って掲載すると、そのWebサイトに訪れたユーザーにアプローチできます。
また、純広告の広告枠は、Webサイトの目立つ場所に設置されていることがほとんどです。そのため、ユーザーの目に留まりやすいでしょう。
ただし、デメリットとして、広告枠を一定期間買い取ることから、効果の有無にかかわらず広告費が発生する点が挙げられます。他のWeb広告と比較しても、かかるコストは大きくなる傾向があるため、予算と照らし合わせながら検討しましょう。
ネイティブ広告
ネイティブ広告は、Webサイト内の一コンテンツのような形で表示される広告です。Webサイト内に自然な形で表示されるため、広告であることに気づかれにくいというメリットがあります。
広告を嫌うユーザーは多く、広告の内容は関係なく「広告である」ということだけでクリックを避けられることも珍しくありません。その反面、ネイティブ広告は広告らしさを最小限にとどめられるため、ユーザーから嫌われることなくクリックされやすいでしょう。
ただ、クリックして訪問した先のコンテンツの質が悪ければ、「広告だったのか」とすぐに離脱されてしまう可能性もあります。そのため、誘導するWebサイトの質を高めておくことが大切です。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、アフィリエイターと呼ばれるWebメディアやブログを運営する媒体主に、自社商品・サービスを紹介してもらいます。
アフィリエイターに紹介してもらう時点では広告費は発生せず、依頼主があらかじめ設定したコンバージョンを獲得した場合に、アフィリエイターへ報酬を支払うという仕組みです。この仕組みから「成果報酬型広告」とも呼ばれます。
コンバージョンが発生しない限り、広告費は発生しないことから、費用対効果に優れた手法です。
ただ、特定のアフィリエイターを依頼主が指定できるわけではないため、質の悪いWebサイトで紹介され、自社のイメージを落としてしまう可能性もあります。そのため、アフィリエイターに依頼する場合は、どのようなWebサイトで紹介されているかを、都度確認することが大切です。
SNS広告
SNS広告は、各SNS上に表示される広告です。SNS広告はネイティブ広告のように、SNS内コンテンツの一部のような形で表示できるものもあるため、ユーザーに受け入れられやすいでしょう。
SNS広告は、SNSの種類によって表示される形や期待できる効果が異なります。各SNSの広告について1つずつみていきましょう。
Twitter広告
Twitterは、SNSのなかで最も利用する年齢層が広いSNSでしょう。拡散力に優れており、購買活動につなげることはもちろん、認知度向上も期待できる広告です。
SNS内コンテンツの一部のような形で広告を表示できるほか、テキスト以外にも画像や動画を活用できるため、ユーザーの目に留まりやすいでしょう。
また、広告とは別に自社アカウントを運用していれば、ユーザーと交流する場を設けられることから、ブランディングや企業イメージの向上も期待できます。
Instagram広告
Instagramは写真や動画の投稿をメインとしたSNSで、広告もコンテンツの一部のような形で掲載できます。画像や動画の広告はユーザーの目を惹きやすくインパクトもあるため、自社商品・サービスのイメージを伝えやすいでしょう。
Instagramは化粧品や美容関連の商材、飲食関連の商材など、幅広い商材で活用できます。若い世代での利用率が高いことから、若い世代をターゲットとする場合の活用がおすすめです。
Facebook広告
Facebookでは、実名登録をしているユーザーがほとんどであるため、年齢・性別や職業など、細かいターゲティングが可能です。Facebook内のあらゆる場所で配信できるため、ユーザーが活用する場所を狙ったり、最適な広告の見せ方ができるでしょう。
また、Facebookはビジネスシーンで活用する人が多いことから、ビジネス関連の商品・サービスを扱う事業者の活用に向いているといえます。
LINE広告
LINEは各SNSのなかでも最も利用率が高いSNSでしょう。「Twitter・Instagram・Facebookは利用していないがLINEは利用している」といったユーザーは少なくありません。そのため、SNSはLINEしか利用していないといったユーザーにもアプローチできます。
LINE広告はLINEのトーク画面やLINEニュースに設けられた広告枠に表示できるほか、LINEの関連アプリにも広告を表示できます。したがって、LINE広告はLINEに限らずさまざまな関連アプリでも広告を表示できるというメリットがあるのです。
TikTok広告
TikTokは10代~20代の若い世代を中心に利用されているSNSです。TikTok広告もコンテンツの一部のような形で広告が掲載されます。
主に短尺のショート動画を活用した広告となり、コンテンツに馴染むような動画広告を制作できれば、広告でもユーザーに見てもらいやすいという特徴があります。TikTokはトレンドが目まぐるしく変化することから、トレンドを活用した広告作りが大切です。
記事広告
記事広告は、特定のWebサイトにて自社商品・サービスを紹介する記事を掲載してもらう方法です。掲載する記事自体は、各Webサイトの媒体主によって作成されるものや、媒体主と広告主が協力して作成するものもあります。
記事広告は自社目線だけでなく、第三者目線からの魅力を伝えられることから、よりユーザーに近い目線でのアプローチが可能です。
また、記事広告は他の広告ではアピールできないような内容も詰め込めます。そのため、他のWeb広告には反応しないようなユーザーからも反応を得られるかもしれません。
動画広告
動画広告は、YouTubeの本編再生前後や本編の途中で配信される動画を用いた広告です。テキストや静止画で表現する広告に比べて、より多くの情報をストーリー仕立てでユーザーへ届けられます。
また、動画広告は短い時間でより多くの情報を伝えられるため、無関心層や潜在層にも効果的です。
ただ、広告に使う動画の作成に時間がかかる点や、ユーザーからスキップされやすい点などがデメリットとして挙げられます。そのため、ユーザーに興味を持ってもらえるようなコンテンツ制作が大切です。
デジタル音声広告
デジタル音声広告は、デジタル音声メディアにおいて、音声を用いて配信される広告です。デジタル音声メディアには「Spotify」「radiko」「Voicy」などが挙げられます。これからの成長が期待されている広告媒体のひとつです。
デジタル音声メディアは、バックグラウンドで利用されることが多いため、ユーザーからスキップされにくいといわれています。ただ、デジタル音声メディア自体があまり普及していないことから、届けられるユーザーも限られてしまうでしょう。
メール広告
メール広告は、メールの一部に広告を掲載したり、メールそのものを広告として配信する手法です。
メールを配信できるのは、過去に自社商品・サービスを購入経験のあるユーザーや会員登録をしたユーザーがメインとなるため、顕在層やリピーターの獲得に効果的でしょう。
メール広告は、ユーザーの好きなタイミングで閲覧できることから、嫌われにくい広告のひとつといえます。ただ、メールが開封されないまま放置されることも少なくない点がデメリットでしょう。
自社サービスに合うWeb広告を選ぶポイント
Web広告の種類は15にも分かれることから、自社に適した広告を選ぶことが大切です。そこで、自社に最適なWeb広告を選ぶためのポイントを3つ紹介します。
認知目的なのかCV(コンバージョン)目的なのか
Web広告を出稿する目的を明確にしましょう。目的に応じて最適なWeb広告は異なります。
例えば、認知度向上を目的とする場合、潜在層に向けて広告を表示させることが大切です。認知度向上を目的として「リスティング広告」を出稿しても、潜在層のユーザーは検索行動に至ることがないため、効果は期待できません。この場合、最適なのは潜在層の目に留まる「ディスプレイ広告」や「SNS広告」でしょう。
逆に、商品の購入やセミナー集客といったCV(コンバージョン)を目的とする場合は、FB広告やリスティングといった広告が良いと言えるでしょう。
このように、Web広告を出稿する目的によって最適なWeb広告は異なります。目的に合わせたWeb広告を出稿し、効果を最大化させましょう。
ターゲットの行動を分析する
Web広告を出稿するにあたって、ターゲットを設定します。この際、ターゲット像だけでなく、ターゲットがどのような行動をとるのかまで分析しましょう。
例えば、20代前半の若い世代をターゲットとするとき、検索エンジンよりSNSの利用時間のほうが長いと予測できます。そのため、検索エンジンにおける広告より、SNS上に掲載される広告のほうがターゲットの目に留まる回数が増えるでしょう。
このように、ターゲットの行動を分析し、ターゲットがよく利用しそうな媒体で広告を出稿することが大切です。
予算と照らし合わせる
Web広告は、全体的に低コストで出稿できるものがほとんどです。ただ、掲載する期間を保証するタイプのWeb広告や、競合の多いキーワードで広告を出稿する場合は、かかるコストが大きくなることもあります。
Web広告は効果が保証されているわけではないため、予算をオーバーしてまで出稿するのは好ましくありません。予算の範囲内で出稿できるWeb広告を選択しましょう。
予算の考え方としては、1件の成果獲得単価であるCPA(コストパーアクション)を基準として考えると良いでしょう。
【一覧表】Web広告で採用されている課金方式
Web広告にはさまざまな課金方式が採用されています。各課金方式の概要や費用相場、採用されているWeb広告の例を以下の表にまとめました。
課金方式 | 概要 | 費用相場 | 主なWeb広告例 |
クリック課金(CPC) | 広告がクリックされた際に広告費が発生する。 | 10円~数千円/1クリック | リスティング広告・ディスプレイ広告・リターゲティング広告・SNS広告など |
インプレッション課金(CPM) | 広告が表示された際に広告費が発生する。 | 10円~数百円/1,000インプレッション | ディスプレイ広告・リターゲティング広告・SNS広告・ネイティブ広告など |
エンゲージメント課金(CPE) | 広告に対して、ユーザーのエンゲージメント(いいね、シェア、フォローなど)を獲得した際に広告費が発生する。 | 40円~100円程度/1エンゲージメント | ディスプレイ広告・SNS広告など |
インストール課金(CPI) | 広告からアプリがインストールされた際に広告費が発生する。 | 100円~250円程度/1インストール | リスティング広告・SNS広告・ネイティブ広告など |
フォロー課金(CPF) | 広告からフォロワーを獲得した際に広告費が発生する。 | 40円~100円程度/1フォロー | SNS広告 |
成果報酬型(CPA) | 事前に設定したコンバージョンを獲得した際に広告費が発生する。 | 広告主が任意で設定可能※定額や売上の○%など | アフィリエイト広告 |
広告視聴単価型(CPV) | 動画の広告が一定時間以上視聴された際に、広告費が発生する。 | 10円~数百円/1視聴 | 動画広告 |
期間保証型(CPD) | 一定期間広告を掲載することが保証されており、掲載場所や期間に応じて広告費が発生する。 | 数十万円~数千万円/1週間 | 純広告 |
自社運用のWeb広告で効果を出すコツ
Web広告の種類にかかわらず、Web広告の効果を高めるための運用のコツを3つ紹介します。
Webサイト内の導線を分かりやすくする
Web広告を出稿するとき、ユーザーが広告にアクセスした際に表示されるWebサイトを制作します。しかし、Webサイト内の導線が悪いと、ユーザーはどこから契約・購入に進めばよいか分からず、離脱してしまう恐れがあります。
せっかくユーザーが興味を持って広告から流入してきたにもかかわらず、Webサイト内の導線でユーザーを獲得できないと、Web広告を出稿する意味がありません。
そのため、広告から流入してきたユーザーをスムーズに購買へつなげられるよう、Webサイト内の導線を分かりやすくすることが大切です。
大前提として、広告は「クリエイティブ」「広告文章」「飛び先のLPやHP」「コンバージョンページ」のすべてが最適かされていなければ、成果を最大化させることはできません。1つでも良くなければWeb広告はうまくいきませんので、1つずつ回収して良いものになる用心がけてみてください。
悪い印象を与えない/強い言葉を使わない
広告は、ユーザーが不快に感じることも少なくありません。「頻繁に同じ広告が表示される」「広告に使われている写真やテキストが不快」「広告の内容に興味がない」など、ユーザーから嫌われる原因はさまざま挙げられます。
一度悪い印象を持たれてしまうと、広告だけで印象を変えることは難しいため、できる限り悪い印象を与えないようにしなければなりません。
広告に使用する写真やテキストに気を配ることはもちろん、広告の掲載場所や掲載頻度など細かい部分まで注意することが大切です。Web広告ならではの細かいターゲティングや、予算に応じた表示回数の上限などを活用して、ユーザーに悪い印象を与えないようにしましょう。
高速でPDCAを回し
Web広告は、出稿後も広告に掲載されるテキストや写真、予算など、さまざまな調整が可能です。そのため、効果があまりないと感じられるのであれば、出稿後も調整を重ねましょう。
また、顧客ニーズや社会環境も常に変わり続けていることから、効果が出ていた広告でも変化に合わせて効果が薄まっていくこともあり得ます。したがって、社会の変化に合わせた広告へと定期的に更新していく必要があるのです。
15つのWeb広告を徹底解説!まとめ
Web広告には15もの種類が存在します。種類によって発揮される効果や達成できる目標が異なるため、自社に最適なWeb広告を選ぶことが大切です。また、Web広告を出稿するにあたって、効果的な運用方法を知っておくことも、効果を高める手段のひとつです。Web広告の種類や運用のコツを理解したうえで、効果的なWeb広告を運用していきましょう。
もちろんWeb広告以外にもWeb集客を行う方法はあります。もし他の方法も気になるという方は「Web集客に成功した企業事例6つ!事例から学ぶ成功に欠かせないポイント」をあわせて読んでみてください!