マーケティング戦略は、効率的な企業活動をおこなうために重要で、企業が得られるメリットもさまざまです。しかし、なんとなくマーケティング戦略を立てるだけでは、思ったような成果に結びつきません。
そこで、マーケティング戦略の効果や立案手順、効果的なフレームワークに成功事例もご紹介します。これからマーケティング戦略を検討する方や、現状マーケティングがうまくいっていないという方は、ぜひ参考にしてください。
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マーケティング戦略とは
マーケティング戦略とは、「誰に」「何を」「いくらで」「どのように」提供するかを決定することです。マーケティング戦略に沿って取り組むことで、効率的な顧客獲得を目指せます。
ライフスタイルや顧客ニーズが多様化している現代で、マーケティング戦略を検討しないままマーケティングをおこなうと、「競合との差別化をはかれない」「顧客ニーズに対応できない」などの問題が生じることもあるでしょう。そのため、マーケティングをおこなううえで戦略を立てることが重要視されているのです。
※バリュー プロポジション(顧客ニーズがあり、競合が参入できていない独自の価値)を取る事を考えるビジネスの場合、マーケティング戦略はいかなる状況でも必須であると考えられています。
マーケティング戦略によって得られる効果
マーケティング戦略を検討することで得られる効果は、効率的な顧客獲得だけではありません。マーケティング戦略を立てることで得られる効果を解説します。
マーケティング戦略を立てると経営資源を有効活用できる
マーケティング戦略を立てることで、経営資源を無駄なく活用できるでしょう。そもそも、経営資源とは企業活動をおこなうために必要なリソースのことで、以下の6つが挙げられます。
- ヒト:人材
- モノ:オフィスやパソコンなどの設備全体
- カネ:経営資金
- 情報:顧客情報やノウハウなど
- 時間:経営に関わるあらゆる時間
- 知的財産:自社で持つ商標権やブランドなど
近年、労働人口の減少により、企業の持つ経営資源には限りがあります。そのため、リソースを適材適所に割かなければなりません。
そこで、マーケティング戦略を検討すれば必要となるリソースが明確になり、効率的な活用が可能です。また、必要なリソースを把握できることから、不足しているリソースの確保にもつなげられるでしょう。
マーケティング戦略を立てると企業競争力を高められる
マーケティング戦略を検討するうえで、自社や競合、顧客に関する分析をおこないます。そのため、自社のポジションを把握できるほか、顧客ニーズに適したアプローチが可能です。
近年ではライフスタイルや価値観の多様化により、顧客ニーズが目まぐるしく変化しています。同時に、顧客へのアプローチ方法も複雑化しており、その変化に対応することこそが企業競争力を高めるひとつの要因となるでしょう。
効率的な売上アップにつながる
マーケティング戦略には、計画から実行、そして効果検証までをおこないます。そのため、目標達成に向けて取り組むなかで、「次に何をしたらよいか分からない」「失敗して次に進めない」といった問題を回避できるでしょう。
したがって、マーケティング活動が滞るリスクが低下し、効率的な売上アップへとつなげられるのです。
マーケティング戦略を立てる4ステップ
マーケティング戦略を検討するにあたって、次の4ステップで進めることが大切です。
ステップ1.内部・外部環境を分析する
まずは、社内の内部環境、自社を取り巻く外部環境を分析します。
内部環境では自社が持つ商品・サービスのほか、経営資源の状況などを把握する必要があります。そして、外部環境については、以下のような内容を洗い出しましょう。
- 顧客ニーズ
- 顧客属性
- 競合の商品・サービス
- 競合の顧客へのアプローチ方法
- 競合が出している結果
- 世の中の動き・流行
自社と競合以外にも、自社や商品・サービスに影響を与える政治や経済の動きも把握しなければなりません。それは、世の中の動きによって顧客ニーズや競合の動きも変化するためです。
環境分析には「3C分析」「PEST分析」をはじめとするフレームワークを活用するとよいでしょう。
ステップ2.ターゲットを設定する
次に、マーケティングの対象となるターゲットを設定しましょう。ターゲットを明確にすることがマーケティングを成功させるための基盤づくりともいえます。なぜなら、ターゲットによってアプローチの方法がまったく異なるためです。
そのため、企業が獲得したい顧客という視点だけでなく、売りたい商品・サービスとマッチする顧客ニーズがどこにあるのかを見極め、ターゲティングしなければなりません。
そして、ターゲットを設定する際は、ペルソナ設定である程度詳しい人物像を想定することが大切です。
ステップ3.独自のポジションを定める
参入する市場でも、競合と差別化を図る必要があります。そのため、「自社がどの立ち位置につきたいのか」「競合と差別化できているのか」などの視点から、独自のポジションを開拓しましょう。
競合とポジションが被ってしまえば、価格競争に陥ることも予想できます。そのため、長期的に安定できるポジションを探し出すことが重要です。タ
ステップ4.価値をどのように提供するかを検討する
環境分析・ターゲティング・ポジショニングを終えたら、価値をどのように提供するのか、最終的な戦略を検討しましょう。
自社の商品・サービスによって、顧客がどのような利益や価値を得られるのかを明確にしたうえで、顧客に選ばれるための仕組みが必要です。競合がいれば、競合ではなく自社を選ぶ理由を顧客へ与えなければなりません。
このように、顧客が自社を選ぶための動機や理由を届けるために、どのようなアプローチをすればよいのか、顧客目線で検討することが大切です。
【ステップ別】マーケティング戦略の立案に有効なフレームワーク
マーケティング戦略を立てるにあたって、効果的なフレームワークをステップ別でご紹介します。
「環境分析」に有効なフレームワーク
環境分析をする際に有効なフレームワークは、以下の4つが挙げられます。
PEST分析
PEST分析は「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの頭文字から構成されています。自社をとりまく外部環境を4つの視点から分析するため、新規事業の参入や自社における脅威の発見に役立つでしょう。
外部環境は日々変化し続けています。そのため、外部環境の動きを正確に捉えることが、自社のポジション把握へとつながるでしょう。
関連記事:PEST分析とは?目的や手順から効果を高めるコツまで!分析事例も紹介
3C分析
3C分析は「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の頭文字から構成されています。3つの視点から情報を整理し、自社の現状を把握します。PEST分析と比べ、外部環境をより詳細に分析できる点が特徴です。
ただ、主観的に分析してしまうと自社の弱みや競合の強みを把握できないなど、分析に抜けや漏れが生じる可能性があります。そのため、3C分析をする際は、客観的視点で分析を進めることが大切です。
関連記事:3C分析の正しいやり方!マーケティングにおけるフレームワークの重要性と分析を進めるコツを解説します
SWOT分析分析
SWOT分析は「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字から構成されています。自社の強みや弱みを分析できるフレームワークです。それぞれの要素は、内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因に分類されます。
プラス要因 | マイナス要因 | |
内部環境 | 強み | 弱み |
外部環境 | 機会 | 脅威 |
自社の現状を分析するとともに、ビジネスチャンスとリスクを把握できるため、今後の事業展開を検討する際にも役立つでしょう。
関連記事:SWOT分析とは?実際の進め方から効果的な分析を行うポイントまで
5フォース分析
5フォース分析とは、以下5つの脅威を分析するフレームワークです。
- 競合
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
上記5つの脅威を分析することで、自社をとりまく外部環境の現状を詳細に把握できます。とくに、新規事業の参入を検討している際に役立つでしょう。
ただ、5つの脅威が大きく、参入が困難であると判断すれば、参入する市場の変更や撤退を検討することも必要となる可能性もあります。
関連記事:5フォース分析とは?マーケティング戦略における重要性や活用事例
「ターゲティング・ポジショニング」に有効:STP分析
STP分析は「Segmentation」「Targeting」「Positioning」の頭文字から構成されています。それぞれの意味は以下の通りです。
STP分析の要素 | 意味 | 内容 |
Segmentation | 市場の細分化 | 参入が可能な市場を洗い出す。 |
Targeting | 参入する市場の決定 | 自社が参入すべき市場を選択する。 |
Positioning | 自社のポジションの決定 | ターゲティングで選んだ市場の中で、自社がどの立ち位置となるかを決める。 |
STP分析をすることで、自社の強みを活かせる市場を発見できるでしょう。新規事業の参入だけでなく、なかなか成果が出ない既存事業の見直しにも役立ちます。
関連記事:STP分析とは?マーケティングにおいてフレームワークが重要とされる理由と具体的な分析方法
「価値提供」に有効:4P分析(マーケティングミックス)
4P分析は、マーケティングを構成する「Product(商品・サービス)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の4つのPから構成されています。つまり、「何を、いくらで、どのように提供し、どのように販促するか」を検討します。
4P分析の特徴は、企業視点から分析することです。マーケティング戦略を検討するうえで、顧客視点・企業視点の双方から分析することが重要なため、マーケティングには欠かせないフレームワークといえます。
関連記事:マーケティングミックス(4P)とは?考え方や活用する流れ、企業事例まで
関連記事:マーケティングにおける4Pが持つ意味|4P分析の方法や4Cとの違いまで
マーケティング戦略が失敗に終わる原因
マーケティング戦略を立て、計画通りに進んだとしても、成功にいたらないケースもあります。そこで、マーケティング戦略においてよくある失敗の原因を3つ紹介します。
目的やターゲットが明確でない
マーケティング戦略を立てる目的やターゲットが明確でなければ、分析する要素に抜け漏れが発生したり、マーケティング活動を進めるうえで方向性にブレが生じたりする可能性があります。
そのため、マーケティング戦略をなぜ検討するのか、どのようなターゲットにアプローチするのかを検討し、目的やターゲットが曖昧なまま戦略を立てないことが大切です。そして、目的やターゲットに適した分析やマーケティングをおこないましょう。
市場調査が足りない
マーケティング戦略を立てるには、十分な市場調査が必要です。しかし、市場調査に抜け漏れがあると、正確な分析結果を導き出すことはできません。そして、分析結果に誤りがあれば想定した成果をあげられないでしょう。
そのため、市場調査をする際は、調査が必要な要素を洗い出し、抜けや漏れを防ぐことが大切です。市場調査に活用できるフレームワークもあるため、積極的に利用しましょう。
消費者に寄り添っていない
売上を上げるために多くの消費者に届けたいと考えることもあるでしょう。しかし、ターゲットの範囲を広げすぎると、アプローチが曖昧になり、結果として誰にも届かない可能性があります。
そのため、顧客ニーズをとらえ、ターゲット像を細かく絞り込むことが大切です。設定したターゲットの心をどう動かすのか、消費者に寄り添ったマーケティング戦略が必要といえます。
まとめ
マーケティング戦略は、企業経営をおこなううえで欠かせないものです。戦略を立てないままでは、企業活動がうまくいかず失敗することもあるでしょう。マーケティング戦略を検討する際に活用できるフレームワークも多く存在します。自社にとって必要な分析をおこない、最適なマーケティング戦略を立てましょう。
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